ゴミ
どれくらいのゴミを捨てていますか?
昨年クラウドファンディングで、海洋保全や温暖化対策を行っているブルーカーボンという団体を支援して、この度リターンとして『海と地域を蘇らせる プラスチック「革命」』という書籍が届いた。著者はグンター・パウリ氏とマルコ・シメオーニ氏で、プラスチックゴミの現状を、クリーンエネルギーを用いた航海によって世界中に伝える活動をしながら、新たなゼロエミッションへのビジネスモデルの提案を行っている。
著者らの前提として、世界広域に渡る課題に対しては、国家レベルでの解決は利害関係上困難だし、既存の資本主義の中で短期利益を追求するシステムの中でも難しいことが示されている。一方で、有志の環境団体などは単発的もしくは限定的な活動はできても、資金面から大きな提案は難しいことも述べられている。これらの問題を解決するためには、長期視点を持った起業家や支援者が、持続的に利益を産み出すビジネスモデルを構築し、運用していくことが重要であることが述べられている。長期という時間軸は、自身が生きている間にその成果を見れない程の長さになるかもしれないが、それでも実行することの重要性についても触れられている。
本著で提案されているビジネスプランは、科学技術だけで解決するというものではなく、世の中に既に存在するバクテリアや海藻などの資源を用い、自然が自ら創り上げるエコシステムを最大限活用しながらテクノロジーと融合させて、より良い持続可能な生態系を創り上げる構想となっている。また、それぞれの地域性を考え、一般論ではなく個別対応が必要であることも同時に述べられている。具体的な投資金額の算出もなされているが、初期投資としてはせいぜい数兆円規模の提案となっている。兆というと金額的に大きいイメージかもしれないが、例えば日本人が一人一万円を捻出するだけでも、約一兆円になる訳だし、かなりリーズナブルな投資のようにも感じる。(コロナの時には国民に10万円が支給された事実もある。)
本著の最後には、海洋汚染された写真も複数掲載されている。先進国が享受しているプラスチック製の入れ物や包装などの便利さの裏で、ゴミと隣り合わせで生活している国や地域があるということは痛ましい限りである。
この本を読みながら、改めて自分の部屋の中、スーパーやコンビニなどの店舗、さらには道端に落ちているゴミなどを眺めてみると、プラスチックで溢れかえっていることが分かる。ただ、本著でもプラスチック自体を悪いという位置付けでは述べておらず、どうやったら再生可能にできるかに焦点を当てて述べている。
いきなりプラスチックを辞めなさいと言ったところで、個々の倫理観に委ねるだけではどうしようもできないほど大きな問題になっているため、ビジネスに紐づけてwin-winにしていくしかないというのはその通りだと思う。その一方で、個人レベルでも無駄にゴミを出したりせず、再利用など出来る範囲のこととセットで考えていければ、こういった活動に対する認知や普及は高まるのかもしれない。後世のためにも、少しでも良い形でバトンタッチしていけたらと思いつつ、引き続き活動を応援していきたい。