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YAMAHA製大正琴の型番について
YAMAHA(ヤマハ)は大正琴メーカーとしては最後発(令和5年末現在)だったと思われますが、世界的楽器メーカーが手がけただけあってその琴はとてもよいつくりで、中古での流通状況をみていてもそれぞれの機種がかなりの台数が売れたのだろうということが伺えます。
現行品はTH-15(アコースティック)とTH-15E(電気大正琴・エレアコ)ですが、既に生産完了品で市場在庫のみになっていると思われます。
ヤマハのサイトには販売終了品の情報も載っているのですが、型番を打ち込んで検索する必要があります。また、公式サイトには情報が載っていない機種やカスタムサービスもあるようです。
カタログ等があれば確実なのですが、いまのところ確認できるヤマハ製大正琴は以下の6機種です(機種名から公式サイトの該当機種のページに飛びます)。ソリッド/サイレント大正琴のヴィオリラ(3機種)は除いています。
▶ ヤマハの大正琴の型番について
さて、そのヤマハの大正琴について、型番の法則がだいたい分かりましたので自分用に整理しておきたいと思います。
TH
先頭の、恐らくシリーズを著すのだろう「TH」が何を示すかは分かりません。ありうるとしたら、Taisho Harp = 大正琴あたりでしょうか?。
十の位(ボディサイズ)
その下のナンバリングが個別の機種ということになりますが、十の位がボディのサイズを表すようで「20」は大型の共鳴胴採用機です。 「10」「15」は共通と思われる胴(Eと無印の差については後述)を採用しています。
一の位(鍵盤(ボタン)の種類)
最後の一の位は鍵盤(ボタン)の仕様を表していて、10と20は楕円型のプラスティックのボタンを採用しているのに対して、後継機の15はボタンにシリコンゴムのカバーがかけられ鍵盤の間隔を改良した鍵盤を採用しています(このシリコンゴムのボタンはヴィオリラでも採用されています)。
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アルファベット(搭載機能の明示)
末尾のアルファベットは搭載機能を表しています。
まず、無印が基本のアコースティック(生音)大正琴、次にEがピックアップ搭載のエレアコで、またEのついたボディには専用ハンドプロテクター(附属)が取り付けられるような金具があります(無印にはこの金具がなく装着できません) 。
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![](https://assets.st-note.com/img/1703083967981-KoV5BZyjHO.jpg?width=1200)
Mは整音機構(開放弦のミュート)の有無を表しています。このネジを回すことでフェルトのついた足が上下し、開放弦のミュートを切り替えることができます。開放弦をミュートしている場合、下点5のキーを押すことで整音機構が外れ、開放弦の音(標準のチューニングだとG3)を鳴らすことができるようになります。
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整音機構は10Mと20MEに搭載されていますが10Mは公式サイトに掲載がないようです。また15の世代にはこの機構付きの機種はラインナップされませんでした(無印とEのみのラインナップ)。
これは個人の勝手な願望になりますが、シリコンゴムの改良型鍵盤(5番)と整音機構(M)とエレアコ(E)を搭載したTH-15MEやTH-25MEという機種があれば魅力的に思えるのですが、当時あまり整音機構には需要が無かったのでしょうか。
▶ (余談)イージーオーダー大正琴
さて、前回も紹介した安原楽器によるヤマハ大正琴のリストのなかに「イージーオーダー大正琴」が紹介されています。
『TH-10M、TH-10E、TH-20MEに好みの図柄(5種類)と文字入れができます。※12本以上の御注文でお願いいたします。教室、サークルなどでお申し込みください』(出典:ヤマハ大正琴の販売 ~ YAMAHAヴィオリラ【ガッキコム】)とあります。
教室、サークルといったグループ向けにまとまった数のカスタム大正琴を作製するサービスですが、90年代半ばにはこういったサービスが成り立つぐらいには大正琴が盛んで、だからこそヤマハもこの市場に参入したのでしょう。いまのところこれらのカスタムが施されたヤマハ製の大正琴を見かけたことはありませんがいずれみてみたいものです。
掲載されているイージーオーダー大正琴のサンプル画像をよくみてみるとTH-10M相当品なのが分かります。ひょとしたらTH-10Mはこちらの教室、サークル向け専用で流通した機種だったのかもしれませんね。
それぞれの機種やサイレント/ソリッド大正琴のヴィオリラシリーズについてはまた改めて紹介することもあると思います。
▶ (余談 その2) いらすとやさんの大正琴イラスト(2種)
![](https://assets.st-note.com/img/1703054498410-haaDu4IoAR.png?width=1200)
なんでもイラスト化すると評判のフリーイラスト大手「いらすとやさん」で検索してみると大正琴のイラスト(上図)が登録されていました。モデルはヤマハのTH-10のようです。公開日が2014年の5月3日ですからかなり前ですね。
大正琴を弾く女性のイラストもありました。この記事を読まれるような方なら活用されることもあるのではないでしょうか。
次回予告
今回は推測混じりの完全に自分用メモですが、どなたかの役に立つこともあるかもしれないと公開してみました。いずれカタログなどが手に入るならその際に適宜追記、修正などしていきたいと思います。
こんどこそなにか一台、大正琴を紹介したいと思います。これくらいのサラッと流せる文字数で。
(2023/12/21 第1版 公開)