ますく堂なまけもの叢書 発行人

かつて西池袋にあり現在は阿倍野に店舗を構える「古書ますく堂」の思想的関東支店として文芸同人誌『ますく堂なまけもの叢書』を刊行しています。文芸誌同人誌『回青橙』、西荻窪の古書店「古書モンガ堂」刊行の『モモイトリ』、夜明け間際の吉野家発『「中島みゆき」と歩く』等にも参加しています。

ますく堂なまけもの叢書 発行人

かつて西池袋にあり現在は阿倍野に店舗を構える「古書ますく堂」の思想的関東支店として文芸同人誌『ますく堂なまけもの叢書』を刊行しています。文芸誌同人誌『回青橙』、西荻窪の古書店「古書モンガ堂」刊行の『モモイトリ』、夜明け間際の吉野家発『「中島みゆき」と歩く』等にも参加しています。

最近の記事

ますく堂読書会レポート「李琴峰『言霊の幸う国で』を読む」試し読み(冒頭部を抜粋)

芥川賞作家・李琴峰渾身の大作 『言霊の幸う国で』 益岡和朗(以下、益岡)  本日は、李琴峰『言霊の幸う国で』(筑摩書房)の読書会です。まず、この読書会の開催経緯について簡単に触れておきたいと思います。 僕自身が、この本の出版を知ったのは、李琴峰さんのⅩ(旧Twitter)の投稿でした。弁護士の滝本太郎氏がⅩにて「李琴峰トランス女性説」を事実であるかのように取り上げ拡散したことを受け、その不法行為に対して法的措置をとる旨の表明と、そのための支援を求める内容でした。その際、カンパ

    • 「SFマガジン 百合特集」読書会レポート試し読み(『ますく堂なまけもの叢書⑥平成の終わりに百合を読む 百合SFは吉屋信子の夢を見るか?』所収)

      「SFマガジン」が導く     「百合」に満ち溢れた世界 益岡  開始の時間になりましたが、この読書会に並々ならぬ情熱を燃やしておられた銀河さんがちょっと遅れておりまして…… ティーヌ  銀河さんは、この「SFマガジン 百合特集」の担当編集者である溝口力丸さんが登壇した「書泉百合部ミーティング」(二〇一九年一月二十五日、書泉ブックタワー秋葉原にて開催)にも参加されていましたし、「この特集号には言いたいことがたくさんある!」と折に触れておっしゃっていましたから、気合いが入って

      • 吉屋信子『屋根裏の二處女』読書会レポート試し読み(『ますく堂なまけもの叢書⑥平成の終わりに百合を読む 百合SFは吉屋信子の夢を見るか?』所収)

        空前の百合ムーブメントの中で 吉屋信子を読む ティーヌ  「読書サロン」主催のティーヌです。今回の吉屋信子『屋根裏の二處女』(国書刊行会)を課題本とした読書会は、「ますく堂なまけのもの叢書」さんで開催される「SFマガジン百合特集」読書会と合わせて「百合小説」をテーマとした同人誌として刊行される予定となっております。 益岡  「ますく堂なまけもの叢書」の発行人をしております、益岡です。 百合コンテンツのブームというのは、一部ではかなり爆発的に起こっているようなのですが、全体的

        • 四十路腐男子、タイBLを学ぶ(冒頭部抜粋)

          いつかは取り組もうと思っていた巨大なる宿題「タイBL」 ヘイデン  そもそも、今回、どうしてタイBL本をつくろうと思ったんですか? 益岡  日本のBLドラマはかなり観ているから、その感想本ならすぐにでもつくれるとは思うんだよね。でも、この「大崎コミックシェルター」向けの新刊については、チャレンジングな本にしたいという思いがあって(笑) 昨年の初参戦では、ドラマ「君の花になる」全話の梗概と感想をまとめた本を書いたんですね。有償頒布するものとしては初の単著として発表してとにかく

          帰ってきた! ますく堂「おっさんずラブ」放談『おっさんずラブ‐リターンズ‐ 』の巻(※冒頭部抜粋)

          天空不動産編、まさかの帰還に 巻き起こった悲喜こもごも 益岡  本日は「おっさんずラブ‐リターンズ‐」座談会ということなんですが……まさか「おっさんずラブ」の、しかも、二〇一八年版である天空不動産編をもう一回やるとテレビ朝日が言い出すとは夢にも思わず…… 一同 (笑) 益岡  ただまあ、諸々話を聞いてみると、だいぶ前から準備をしていた感じはするんですよね。今回、放送開始にあわせてかなりたくさんの雑誌が、田中圭と林遣都を表紙に迎えて特集を組んだわけですが、そのうちの一冊「1O

          帰ってきた! ますく堂「おっさんずラブ」放談『おっさんずラブ‐リターンズ‐ 』の巻(※冒頭部抜粋)

          再録・ますく堂おっさんずラブ放談①「おっさんずラブ2016-2018」の巻(冒頭部抜粋)

          二〇一八年最大の衝撃作! 恋愛ドラマの革命児「おっさんずラブ」 益岡  ちょうど一年前の二〇一七年十二月三十日に、《ますく堂なまけもの叢書》企画の第一弾である「早稲田文学女性号」の読書会を行いました。ありがたいことにそれから四冊、本を出すことができまして、この「おっさんずラブ」特集号で五冊目となります。二年連続で参加されている方もおられますが、今年もこの年の押し迫った日程で「みんな、良く来るな」と感動しております(笑) さて、今回のテーマはテレビ朝日で二〇一八年の四月から連

          再録・ますく堂おっさんずラブ放談①「おっさんずラブ2016-2018」の巻(冒頭部抜粋)

          高良くんと天城くんとその他の物語 インフラとしてのジャニーズⅡ(冒頭部公開)

          最後の(?)ジャニーズ特集号を 始めるにあたって 益岡和朗(以降、益岡)  皆さまお疲れ様でございます。《ますく堂なまけもの叢書》、久方ぶりのジャニーズ特集へようこそ。 一同 (笑) 益岡  本日の趣向としては、まず、ジャニーズ事務所と大変縁の深いBLドラマ「高良くんと天城くん」を、この会場に午前十時から集まって視聴いたしまして、そのドラマと、ジャニーズ全般について語り合う会を午後から……今、十四時半ですけれども、これから行うという流れでございます。朝からいらしていただいて

          高良くんと天城くんとその他の物語 インフラとしてのジャニーズⅡ(冒頭部公開)

          読書サロンにて『百合小説コレクションwiz』を読む(冒頭部公開)

          ※こちらは、2023年11月11日開催の「文学フリマ東京37」にて初頒布する『読書サロン発、百合コレクション2023』のメイン記事、『百合小説コレクションwiz』(河出文庫)読書会レポート冒頭を試し読みとして公開するものです。「ネタバレ上等!」で語り合っておりますので、閲覧時、ご留意ください。 二〇二三年・夏、読書サロン、 最先端の百合文芸に挑む ティーヌ  「読書サロン」主宰のティーヌと申します。今回の課題本は、河出文庫から今年の二月に刊行された百合小説アンソロジー『百

          読書サロンにて『百合小説コレクションwiz』を読む(冒頭部公開)

          ますく堂座談会レポート:幾原邦彦監督アニメ「さらざんまい」を語る(冒頭部分のみ抜粋)

          悲願のイベント、ついに実現! みんなで朝まで「さらざんまい」! 益岡和朗(以降、益岡)  今回のテーマは、アニメ「さらざんまい」です。 矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太という三人の中学生が、今は亡きカッパ王国の第一王位継承者・ケッピの呪い(?)でカッパにされてしまい、人類の欲望を糧に暗躍するカワウソ帝国と戦わされることになります。カワウソ帝国の幹部として生きるカッパ王国の元戦士にして浅草川嘘交番の警官コンビ・新星玲央と阿久津真武が送り込む怪人・カパゾンビとの戦闘は、彼らの命そのもの

          ますく堂座談会レポート:幾原邦彦監督アニメ「さらざんまい」を語る(冒頭部分のみ抜粋)

          テレビドラマ「君の花になる」感想本 『きみはな本 「8LOOMは僕たちの宝だよ」篇』試し読み 

          ここで紹介する『きみはな本 「8LOOMは僕たちの宝だよ」篇』は、《ますく堂なまけもの叢書》発行人が、昨年放送したTBSのテレビドラマ「きみの花になる」が「とにかく好き!」という気持ちだけでつくってしまった同人誌です。 内容は、ドラマ全話の紹介と感想を、ただただ、個人の偏愛だけを頼りに綴ったものでございます。 昨年の大晦日に開催された「大崎コミックシェルター」参戦を機に発行し、「文学フリマ」や、神保町の共同書店「PASSAGE」にて頒布いたしております。 DVD、Blu-ra

          テレビドラマ「君の花になる」感想本 『きみはな本 「8LOOMは僕たちの宝だよ」篇』試し読み 

          ますく堂読書会レポート:読書サロンにて『須永朝彦小説選』を読む

          追悼出版にて、ついにブレイク? 「孤高の文学者・須永朝彦」の回想 ティーヌ  セクシュアルマイノリティが登場する小説を課題として開催される読書サロン、二〇二二年六月の課題作は、ちくま文庫から刊行されている山尾悠子編『須永朝彦小説選』です。まずは、この本を推薦いただいた益岡さんから一言お願いします。 益岡和朗(以降、益岡)  皆さまお疲れ様です。今回は、持ち込み企画と申しますか……僕の発行している《ますく堂なまけもの叢書》という文芸同人誌がございまして、これは「古書ますく堂」

          ますく堂読書会レポート:読書サロンにて『須永朝彦小説選』を読む

          ますく堂読書会レポート『矢川澄子ベスト・エッセイ 妹たちへ』を読む

          ファン待望のベスト・エッセイ出来 緊急事態下に矢川澄子を読む 益岡  明日、二〇二一年四月二十五日から、東京には緊急事態宣言が出るそうですが、埼玉県でも、今日の会場となっている川口市とさいたま市だけがまん延防止等重点措置の対象地域となっております。昨年からずっとコロナの影響でなかなか対面のイベントが難しいという状況が続いている中で、やっと少しましになってきたかな……というところでの感染再拡大という事態でしたので、この読書会も開催するべきか迷ったのですが、大阪へ旅立った古書ま

          ますく堂読書会レポート『矢川澄子ベスト・エッセイ 妹たちへ』を読む

          真壁有希子が立ち向かった、二つの「完璧な人生」(「緊急取調室」3rd SEASON)

          ※本稿は、連続ドラマ「緊急取調室」3rd SEASONの各話及びシリーズ全体の結末に触れている部分があります。先入観なく作品を楽しみたい方は、是非、ドラマ鑑賞後にお読みください。  天海祐希演じる取調べの鬼、真壁有希子警部補を主人公とした人気刑事ドラマシリーズ「緊急取調室」。本稿では、二〇一九年に放送された3rd SEASON(テレビ朝日)について、特に「ジェンダー」という観点に着目しながら、読み解いていきたい。  第一話、真壁は女性警察官として史上初の警視庁刑事部参事官

          真壁有希子が立ち向かった、二つの「完璧な人生」(「緊急取調室」3rd SEASON)

          読書サロンにて、矢部嵩『〔少女庭国〕』を読む (冒頭部を抜粋)

          「ハヤカワ百合SFフェア」 最大の問題作、『〔少女庭国〕』の衝撃 ティーヌ セクシュアルマイノリティのキャラクターが登場する小説をテーマにした読書会、「読書サロン」主催のティーヌと申します。今回は、「ますく堂なまけもの叢書」さんとのコラボ企画ということで、矢部嵩『〔少女庭国〕』をテーマに語り合っていきたいと思います。 最初に益岡さんから、今回の経緯についてお話しして頂きたいと思います。 益岡 「ますく堂なまけもの叢書」の発行人をしております、益岡と申します。西池袋にある「古書

          読書サロンにて、矢部嵩『〔少女庭国〕』を読む (冒頭部を抜粋)

          加藤シゲアキ『オルタネート』選評を読む(「第164回直木三十五賞」篇)

          ※この記事は、第164回直木三十五賞の選評内容に触れています。先入観なく原文にあたりたい方はご注意願います。 全候補作中、第二位だった(と思しき)『オルタネート』 加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)の進撃が止まらない。  「直木賞」候補に続いて、「本屋大賞」「吉川英治文学新人賞」とビッグタイトルへのノミネートが続いている。  特に「吉川新人賞」は、「直木賞」「山本周五郎賞」と並ぶプロのエンターテインメント作家に対する新人賞(実質的には中堅・実力派作家に贈られる「免許皆伝

          加藤シゲアキ『オルタネート』選評を読む(「第164回直木三十五賞」篇)

          ますく堂 映画放談『埼玉の植民地・池袋の片隅で「翔んで埼玉」を語る』(冒頭部を抜粋)

          古書ますく堂史上、屈指の名作?     最強の埼玉礼賛映画「翔んで埼玉」 益岡 映画「翔んで埼玉」は魔夜峰央先生が一九八三年に発表した未完のコミックを大胆に脚色した娯楽大作です。 大都会・東京が貴ばれる一方で、埼玉県が必要以上に忌むべきド田舎として扱われている架空の日本を舞台に、埼玉県民であることを隠しながら東京の名門校に通い、埼玉の地位向上を目指す若き革命家・麻実麗と、生徒会長で埼玉弾圧の急先鋒であったはずが麗の魅力の虜になり、その身を捧げんと決意する美少年・壇ノ浦百美が織

          ますく堂 映画放談『埼玉の植民地・池袋の片隅で「翔んで埼玉」を語る』(冒頭部を抜粋)