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事業開発のマーケティング|プロポジションの効果的なコミュニケーション設計

事業開発のマーケティングの役割について紹介します。

マーケティングとは?

確定プロポジションを用い、見込み顧客の獲得、育成、選別を行い、セールスに確度の高い見込み顧客をパスすること。それが、マーケティングの位置付けになります。

図:マーケティングの位置付け

マーケティング

既にビジネスR&Dが、売れるモノ(プロポジション)を見つけています。マーケティングは、それを使って、より多くの見込み顧客を獲得することが仕事になります。

マーケティングの仕事は、具体的には以下のようなものです。

「獲得する」: 展示会、商談、入門的なセミナー、ウェブマーケティングなどで、新規潜在顧客を獲得します。

「育てる」: コンテンツマーケティング、より専門的なセミナー、定期的な情報提供によるコミュニケーションなどで、潜在顧客の製品への理解と購買意欲を高めます。

「選別する」: 主にマーケティングオートメーションツールの点数化やシナリオ構築などで、購入可能性の高い潜在顧客を選び出します。

こうして列挙してみると、マーケティングの業務はかなり多岐にわたることが分かります。だからこそ、後回しにしがちなビジネスR&D(新しいプロポジションの創出)を専門機能として取り出す必要性があると感じ、そのような仕組みを構築すべきだと考えています。

何を、誰に、どう伝えるか?

売れるポイントがあっても、どのような表現で、どのような側面に焦点を当てるかによって、その伝わり方は全く異なったものになります。

有象無象にある情報の海の中で、自らの情報に注目してもらうためには、潜在顧客(ターゲット)に確実に刺さる表現を選択する必要があります。

伝わるメッセージを作成すること。これはマーケティングの重要な仕事です。

マーケティングが生み出す価値は、何を、どう、誰に伝えるかというコミュニケーション設計とブランディングです。

確定プロポジションの設定(何を)

ビジネスR&Dで既に刺さるプロポジションが見つかっていますので、何をについては悩む必要がありません。このプロポジションを誰に、どう伝えれば、潜在顧客を多く獲得できるか、に焦点を絞って考えていきます。

コミュニケーション設計(誰に、どう)

ターゲット(誰に)の選定は、極めて重要です。ビジネスR&Dのプロポジションを探す過程でターゲットも明確化されているはずです。そのターゲットがどこにいるか、どうやったらそのターゲットに届くか、を考えるのがマーケティングの役割になります。

ブランディング(メッセージの統一性)

マーケティングは、リーダーであるべきです。プロダクトの世界観を決めて、メッセージに統一性を持たせ、ブランディングを主導すべきです。マーケティングは、顧客が目にする多くの情報をコントロールすることができます。メッセージの統一性を作り出せるのはマーケティングしかいません。

さらに効率性を高めるザ・モデル方式

ザ・モデルでは、効率性(成約率)を高めるために、マーケティングとセールスの間をつなぐインサイドセールスを配置しています。

マーケティングは、データ上でしか顧客を見ないのに対して、インサイドセールス(簡単に言えばテレアポでのセールス)が直接顧客と対話することで、対象外の見込み顧客を効率的に排除し、よりホットな見込み顧客のみを選別することができるようになります。

一般的にインサイドセールスの役割は、面談の設定がゴールとされています。インサイドセールスからパスを受け、実際の面談を実施し、見込み顧客のコンサルティングに基づく提案、販売を行い、最終的に売り上げを上げることがアウトサイドセールスのゴールになります。

仕事としては、ゴールゲッターのアウトサイドセールスに比べ、インサイドセールスは地味で面白くないのではないか、と感じる部分はあります。ただし、実際のセールス(昔ながらのなんでもやる営業職)でも、メールや電話での情報取りと、面談での情報取りは使い分けているので、機能を分割することでより効率性を高めるシステムなのだと思います。

余談ですが、コロナのおかげで従来対面を前提としていた面談は、Web面談でほとんど済むようになりました。仕事の半分以上を移動に費やしていたビフォーコロナと比べると、格段に効率アップしたと感じています。さらに、その分をマーケティング的な仕事に時間を投入すれば、さらに成果が出る仕組みを構築することも可能だと思います。

ただ、古い大企業だと、伝統的なセールス(営業事務を含むオペレーション全般の作業を見つつ、営業するスタイル)が当たり前で、なかなか機能的な新しい仕組みを導入することは難しいのが現状です。悲しいですが、その必要性すら感じてもらえないことがほとんどです。その一方で、マーケティングは、ウェブマーケティングが大きく関わることもあり、部署として新設しやすいという事情もあり、マーケティング担当が置かれる例が増えてきています。マーケティングの本質的な機能を見誤ることなく、ぜひ多くの企業にマーケティングの威力を最大限発揮してほしいと願っています。

まとめ

マーケティングは、確定プロポジションを用いて、より多くの見込み顧客を獲得する仕事です。顧客とのコミュニケーションを設計していく役割を担います。

・獲得する
・育てる
・選別する

また、マーケティングは、ブランディングのリーダーシップを取ることのできるポジションです。メッセージの統一性を作り出すことで、ブランド価値を構築していくことができます。事業開発の初期では、あまり意識されないことも多いかもしれませんが、グロースさせていくためにはブランディングは後々に非常に重要な一要素となってきます。

参考文献

「ザ・モデル」:BtoBの分業制のバイブルと言っても過言ではないかと思います。基礎的な思想を部内で広めるために課題図書に設定して、全マネージャーに読ませるべき一冊です。

「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」 :従来、マーケティングというとビジネスR&D(新しいプロポジションの発見)がその本質的価値だと言われているように思います。この本でいう「マーケティング」もまさにその思想が強いですが、マーケティングのあるべき姿を描いている理想的な入門書だと思います。



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TANAKA ICHIRO / 大企業の事業開発
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