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実は記事執筆現在、ジョジョ6部マンガの英語版は「海賊版」しか存在しない | 森田一郎の毎日戯文 #6

毎日戯文とは

ドーモ、森田一郎です。
私は英語がわかります。資格とかはなんも持ってませんが、日常的に読み書き喋り聞く言語は3割日本語、7割英語という程度にはわかります。
海外のオタクコミュニティにも籍を置いており、記事執筆現在は発表されたばかりの「ジョジョの奇妙な冒険 第6部」のアニメ化に沸きに沸き立っております。

さて、「ジョジョの奇妙な冒険(JoJo’s Bizarre Adventure)」と言えば「鬼滅の刃(Demon Slayer)」「僕のヒーローアカデミア(MHA)」「ナルト(Naruto)」などと並び、海外のオタクたちにも大人気の作品です。

"Yare yare daze" "Muda" "It was I, DIO!(このDIOだ!)" "Za Warudo(ザ・ワールド)"などの名台詞は広く浸透していますし、英語圏のファンの中でもジョジョ6部アニメ化は待ち望まれていました。

そこには恐らく、私達が楽しみにしていた以上の渇望とも言える思いがありました。

「英語版は海賊版しかない」という状況

いきなり重い見出しであります。そうです、実は記事執筆現在、ジョジョ6部コミックスに関しては正規の英語版がリリースされていません。正規英語版に関しては、小学館・集英社・小学館集英社プロダクションの共同出資子会社で英語版"Shonen Jump"の出版社でもあるVIZ Media社が担当しており、第4部の「チープ・トリック その⑥」までがリリース済み、第5部の刊行予定がアナウンスされています。

つまり、現在(そしてしばらくは)非日本語話者がジョジョ6部以降を楽しむためにはScanlation(スキャンした漫画を翻訳したもの)に手を伸ばすしかないという現状があります。

この記事では海賊版の問題や是非だとかはすごくむずかしくて怖いしちびっちゃうので触れませんが、とりあえずそういう事実があるという事を念頭に置いて頂きたく存じます。

英語圏オタクに徐々に訪れる春

さて、日本のアニメファンには馴染みが薄いと思いますが、Crunchyrollというサイトがあります。日本アニメの英語版のみならず漫画配信や自社制作アニメ配信も行い、日本アニメの英語圏への大きな窓口となっているプラットフォームですが、実は最初はファンによる「非正規英語版」の共有サイトでした。

それが現在では前述のVIZ Media社の兄弟会社であるVIZ Media Europeを買収するに至り、去年には日本アニメアメリカ輸入の大御所、Funimationに買収されました。現在はジョジョ5部アニメまで配信されており、正規英語版が楽しめるようになっています。(尚、日本ではNetflixで全部楽しめるジョジョアニメですが、アメリカでは3部アニメまでしか配信されておらず、今年3月で配信が停止されました)

このように、実はかなり最近まで「英語圏のオタク」が日本のアニメや漫画を楽しむ為には「日本語をマスターして(かなり入手しづらい)正規版を手に入れる」か「非正規英語版に手を出す」しかないという辛い状況が続いていました。

つまり、ジョジョ6部以降をわかっている英語圏のオタクというのは「日本語ガチ勢」か「非正規英語版読んじゃった勢」だったのです。(後は「あらすじとキャラクターだけWikiで勉強した人」とか)

やっとジョジョ6部の話で盛り上がれる…きっと。

というわけで、英語圏のオタクとジョジョの話をすると必然的に5部までの話題が殆どになり、ジョジョ6部以降の話はネタバレになるか変な雰囲気になるため喋りづらいシーンが多かったのです。

6部コミックス英語版も見通しは明るいもののまだ正式なアナウンスはされておらず、Crunchyrollも、6部アニメについては時期が早いのもあり、正式に配信するとの発表はありません。(たぶん。少なくともTwitterでは。大人と土地の事情でCrunchyrollサイトのニュースが読めないので)

ただTwitterでは6部アニメの発表に触れており、「配信しまっせーん」という方がおかしいものの、おかしい事が発生する可能性も無くはない世界なので予断を許しません。

個人的にはやっぱり期待してしまう

Crunchyrollは5部アニメについては日本とほぼ同時の配信を行っていた事もあり、海外のオタクと「これも!これも!これも!これも!これも!これも!(たぶん"AND THIS! AND THIS! AND THIS!"になるかな)」とか「count prime numbers(素数を数える)」とかで一緒に盛り上がれる事を期待してしまいます。

「ぼくの名前は…(My name is...)」もミームとして定着する事でしょう。いやしないか?するか?しそうだなあ。して欲しいなあ。

森田一郎です...... 森田一郎 ぼくの名前は.......

ぼくの名前は森田一郎です(ぜひ覚えて帰ってください)


いや、っていうか私の名前よりも、「読みたいマンガ、見たいアニメを、なんぼ払っても見られない海外オタク」の事を知ってほしかったのです。願わくばこの記事が彼らのアニメ/マンガインフラが整う一助とならんことを。



最後にもう一つ

忘れてはならないのが「アメリカ/ヨーロッパ以外の英語話者」です。割と「母語が英語ではなく、英語は出来るんだけど日本語は出来ない」というアニメ/マンガオタクの人が居るんですが、そういった人が地域ブロックによって(アメリカやヨーロッパからは利用可能な)正規英語版にアクセス出来ない、という非常に厄介な状況に苦しめられているのを目にします。

英語は世界共通語だ!などとは申しませんが、英語が比較的容易に習得でき、可用性の高い言語であるのは間違いありません。全原語版をカバーするというのは現実的ではありませんから、せめて英語版だけでも、出来るだけ世界中の人に届いて欲しいと思うところであります。

海賊版問題というこわいしむずかしいしチビっちゃう題材に片足つっこみかけたのでこの辺りでトンズラします。また明日。


追記: 記事を上げた5分後くらいに、この記事の一番大事な所を書き忘れてたことを思い出して追記しました。「ジョジョの奇妙な冒険」タグをなんか違うなあと思って消しました。

追記2: 極端な表現だったので、「(後は「あらすじとキャラクターだけWikiで勉強した人」とか)」を追記しました。

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