サザエ自身は愉快でないはず | 森田一郎の毎日戯文 #159
買い物しようと街まで出かけたらサイフを忘れていたら、周りは愉快だとしても本人は愉快ではないと思うんですよ。笑い話にしてしまわないと自分の抜け加減に嫌気が差すレベルなんですよ。サザエもきっと愉快ではないはず。
ドーモ、森田一郎です。
お魚くわえたどら猫追っかけて裸足で駆けてくのは相当な緊急事態なんですよ。サザエは自分の滑稽さを自覚する余裕もなく、靴も履かずに一も二もなく追っかけているわけですよ。ヘタをすれば事件ですよ。嫌気がさすレベルですよ。
あとアレです、「アスファルトにタイヤが切りつけられるほど苛烈な操作をしながら」ではないでしょうか。
いや、わかりますよ。「アスファルト タイヤを切りつけながら」で詩的に完成されている歌詞なんですよ。むしろこの歌の主体となっている人物が、ハンドルを握りアクセルを踏みタイヤを切りつけているわけですから、あれ、切りつけられているのはタイヤじゃなかったっけ。いやでもこういう用法ほかの日本語でもある気がするな。
ポイントはそこではないんです。「アスファルトで」とか「アスファルトに」とか言わなくても「アスファルト」と言うだけで、なぜかよく知りもしない首都高の夜景がありありと浮かんでくるわけです。つまりこれは、「時は幕末」とか「昔々あるところに」みたいなことなんです。それぞれ舞台がふわっと思い浮かぶでしょう。
「アスファルト タイヤを切りつけながら」いい歌詞です。
「クルマのライトにキスを投げては 車道で踊るあの娘」
危ないでしょお!!!!!!!!!
またあした。