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『ゾンビランドサガ リベンジ』 『メガロボクス2 NOMAD』 そして 『アオイホノオ』 激しく共鳴する「駄目」な男たちと森田 | 森田一郎の毎日戯文 #11

毎日戯文とは

ドーモ、森田一郎です。

今週はゲームの事を調べつつ、書きつつ、やりつつ、合間に島本和彦先生の「アオイホノオ」を読んだり、配信開始した「NOMAD メガロボクス2」と「ゾンビランドサガ リベンジ」を見たりしました。この記事にはそれらの作品のネタバレがちょっとあります。

さて、森田一郎はよくいる駄目な男であります。駄目な男でありますから、フィクションの駄目な男に強く共鳴するのであります。
駄目というのは公約数なのです。駄目は共感を呼ぶ。駄目は世界を平和にする。ダーメダメダメダメ人間(ダーメ!)人間~、人間~。

駄目というのは悪い事ではありません。男に限らず「もう本当に駄目だ」というシリアスな駄目もあれば、「あちゃー、まあ落ち込まずどんどんやろう」という通常営業の駄目もあり、現在の私は後者の前向きな駄目であります。

笑いを誘う駄目、涙を誘う駄目、いろんな駄目があります。駄目という文字がよくわからなくなってきた。

NOMAD メガロボクス2』第一話は真剣な駄目です。一度本当に駄目になった経験のある人たちが丹精込めて作り上げた一話だと思いました。

「やっぱり『2』のライバルは○ー○○か!」などと喝采をあげたり、「じゃあ待てよ、こんないいキャラがこの後あんな事になるってのか……?」と不安になったり、「いや、でも前シーズンをあえてあの結末にしたメガロボクスだ……」とそわそわしたりしました。

『アオイホノオ』の影響を受けた脳にセルアニメ調の絵がビシバシと染み渡り、途方に暮れるNOMADの姿が実写よりも心に迫ります。
ほんとうに丁寧にNOMADのダメな姿を描いており、「わからんやつはわからんでいい、おれたちはわかるやつにだけ向けて作っている」と言わんばかりのシーンが続き、リングでの決着のシーンではあまりの悔しさに歯を食いしばりながら落涙しました。あの状態の男に対してあんなに残酷な事はないとわかる、わかるぞ。

ともかく続きが楽しみな『NOMAD メガロボクス2』であります。


ゾンビランドサガ リベンジ』第一話は真剣と笑いの中間の駄目です。

巽幸太郎は戯画的なのんだくれになり、元々の破滅的な勢いが災いしてほんとうにどうにかしてしまいますが、丁寧な描かれ方と宮野真守さんの名演によって真剣かつ爽快な駄目になっています。

大失敗、再起、フルサークル。なるほど「リベンジ」か、と頷かされるような展開で、今期も期待できます。

巽幸太郎の駄目だけではなく、さくらちゃんの大失敗やステージ恐怖の描写など、一時期ステージに立っていた(まあ座ってタイコを叩いてたんですが)人間としては共感する点も多く落涙しました。よく泣く男だなおまえは。


アオイホノオ』は楽しくリアルな駄目です。

島本和彦先生は私の大好きな漫画家のひとりなのですが、その理由のひとつは徹底的に戯画化された描き方とキャラクターからにじみ出るリアルな人間性のギャップにあるのではないかと睨んでます。別に睨んではいませんでした、ぼんやり思ってます。

その島本和彦先生の『アオイホノオ』、実は最初読んだ時には「あれっ、面白くないぞ、どうした島本!」と思ったんですが、たぶん脳がどうかしてた時期だったんでしょう、めちゃくちゃに面白いです。

島本和彦先生の人間描写の真骨頂と言いたいくらいで、「若気の至り」とひとくくりに出来ない、駄目なやつが陥りがちな慢心や錯誤が描かれており、しかもそういう意識というのは大人になる過程で手放したように思っても心のどこかに眠ってるものですから、共感、同情、笑い、すべてを誘ってくれます。

実際の出来事を基礎にしているのもものすごく良く機能していて、ドキュメンタリーと創作のいいとこどりのような珠玉のマンガであります。あくまでフィクションですが。

焔は駄目です。しかも駄目だけど多くの人が通過した経験のある駄目で、多くの人がまだ付き合っている駄目です。

「俺が考えた事を先にやりやがった!!」「俺だけの○○が!!」「俺だけはわかってやる○○」みたいなお門違いの気持ち、今でも勝手に湧いてきますから、焔にはたいへん共感してしまいます。

共感するから笑える、悩んでる本人は真剣だから同情も出来るし、(あくまでフィクションですが)焔がどこへ行くのか知っているから、そんな駄目を見せられても一話読み終えるごとに頑張る気力が湧いてくる。

「おれ駄目だな~」と思う人は是非とも『アオイホノオ』を手に取り、Netflixとアマゾンプライムをとっとと契約して『メガロボクス2 NOMAD』と『ゾンビランドサガ リベンジ』を観てください(セールスマンか)。

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