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好きな乗り心地って何?マイボトルで珈琲が飲み辛い乗り心地を見える化してみた

 クルマのイイ乗り心地を探すために見える化の方法を探してみました。かねてより乗り心地は振動計測器を用いて研究されており、今回はふわふわとゴツゴツの振動成分を路面別に測定しました。

デバイスの作り方や振動評価の方法が掛かれた論文や文献をいくつか漁りましたが、手持ちのデバイスでは正確性に限界があるため、ざっくりと傾向をつかむことに注力しました。

「乗り心地が悪く、長時間乗っていると腰が痛くなる」と妻

 先日サスペンション交換し固くなる方向へ調整したところ、妻に腰が痛いと言われるようになりました。確かにマイボトルで珈琲を飲む時は路面状況を注視して段差を避けながら走りますね。

 まずは、良いと感じる乗り心地と、そうでない部分を把握して言語化するために振動を計測して現状の乗り心地を見てみます。

ゆったり上下動をふわふわ、腹部に伝わる息苦しい動きをごつごつ

 乗り心地の表現を論文を参考に振動に置き換えました。ふわふわしたゆったりとした上下の動きは、0.2~3Hzの周波数成分に特徴が表れ、ゴツゴツとした硬い細かな動きは3-8Hzに特徴が表れるとあります。

 まずはこれらの周波数成分別のパワーの大きさを一つの値として取り出してみることにしました。他にも様々な要素がありますが、シンプルに車体の上下方向の加速度を測定しました。

各種路面走行時の官能評価値を分析した結果,定常的な振動状態における乗り心地評価基準を,3~8Hzのごつごつ感と,0.2~3Hzのふわふわ感により表
すことができることを確認した。また,その両方の感覚が官能評価値に起因する割合を調べ,評価基準を作成した。
2)上記のごつごつ感は,シート座面の上下加速度と,車両フロア面の上下加速度により,官能評価値を予測することができた。また,ふわふわ感については,シート座面の上下加速度と,ロールレートにより予測することができた。なお,ハーシュネスについては,シート座面の上下加速度およびシート背面の前後加速度と,耳元音圧により予測することができた。
乗員の官能評価にもとづく乗り心地評価(武井ら、1995.9)
https://www.tytlabs.com/japanese/review/rev303pdf/303_047takei.pdf

50km/h以下はごつごつ感、80km/hはふわふわ感が不快

私の感覚と同じ傾向が数値に表れました。縦軸は各成分の大きさ、横軸は時間です。走行時にモニタを見ながら自分の感覚と数値のマッチングを行ったところ、30以下は快適、30以上は不快であることが多かったです。また、速度別に表れる特徴が異なります。低速域はごつごつ感、高速域はふわふわ感が目立ち不快に感じました。

  • ~20:30:新しい道路で乗り心地良い

  • 20:30~:ゴツゴツした古い道路、マンホールの凸凹も目立ち、コンクリートのひび割れもある

  • 20:36~:比較的新しい2車線のバイパス道路

  • ★20:39:橋があり、上下にゆっくり大きく揺れるような路面

  • その他:0に張り付いている部分は信号で停車中

乗り心地測定結果
余談。Pに入れた時のエンジン振動は29Hz、Dに入れた時は51Hzでした。

高速時のふわふわを抑え、低速時のゴツゴツを抑えることで改善が期待できそう

 速度域によって不快に感じる特性が異なり、抑えるべき内容が異なることが分かってきました。例えば、低速はもう少し足回りをしなやかに動かすようにブッシュを動きやすく調整する。高速は動きすぎているため、動きを抑制する方向に調整する。といったことで解決できるかもしれません。

 測定データでは無いですが、リアの突き上げる感覚が強く感じました。6軸IMUのため、ピッチングは取れますので、取付場所やグラフの見せ方の辺りは改善したいです。100km/hの高速道路の区間でハーシュネスの特性も取りたいですね。

参考になった資料たち

今回は「第四章 振動騒音乗り心地」が大変勉強になりました。

技術的な難しい内容をインタビュー形式で簡単な言葉に置き換えて下さっており理解を促してくれました。

振動工学の観点から、オーバーオール値を算出する際に参考にさせて頂きました。

https://www.imv.co.jp/catalog_dl/pdf/naruhodo_shindoukei2.pdf

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