花物語~ オリーブ

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・

画像提供:「花ねこ日記」

オリーブの島

2008/11/3(月) 午後 10:51

オリーブの島で有名なのは小豆島
明治の終わりごろから
島の人たちが苦労して苗を育てたの
実はもうひとつ
誰も知らないオリーブの島があったの

その小さな島は無人島
無人島の様子を調べるために
役所の人がその島を訪れて分かったことなの
その島にはオリーブの木がいっぱい植えてあったの
誰が何のために植えたのか調べることになったの

先ず島の持主を訪ねたの
島の持主にオリーブのことを尋ねたら
オリーブのことはまったく知らず
その島は人に貸しているということだったの
そこでその島を借りている人を訪ねることになったの

その島を借りている人の所を訪ねると
島を借りた人はもう亡くなっていたの
その息子さんという人に会って
ようやくその人のお父さんの話を聞くことが出来たのよ
そのお父さんがやはりオリーブの木を植えたのね

六十年以上も前日本は戦争に負けて
朝鮮や中国やいろんな国に住んでいた日本人は
命からがらふるさとに帰ってきたの
お父さんもその一人だったの
敗戦はお父さんのこれまでの価値観をすっかり変えたの

戦争はしてはいけない
世界の平和を心から祈る気持ちになったの
戦争放棄を謳った憲法が出来た
でも大事なのは一人一人が平和を願い
戦争はしないと誓うことだと思ったの

お父さんはその自分の決意が変わらないように
平和と希望の象徴であるオリーブの木を
小さな無人島に植えていったの
心から平和を願うことが
戦争で生き残った者の責任だと思ったの

でもお父さんは誰にも何も言わなかったの
また誰が何を言おうが気にしなかったの
それは自分自身に課した試練だったからよ
オリーブの木は小さな無人島で
誰に知られることなくいまも力強く育っているのよ

  まぐまぐ!「花を歌うかな」'08/10/29 No.1251

藤川一郎
京都市北区紫竹北大門町37 葵荘17号
075-493-4676

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