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解説『TENET テネット』ネタバレ

割引あり

解説『TENET テネット』ネタバレ_20921
"TENET"

黒幕は、マイケル・ケインです。#嘘
ジョークです。

クリストファー・ノーランはマイケル・ケイン大好きっ子なので、マイケル・ケイン演ずる人物から読み解けばいいだけのことです。#嘘

※ネタバレしていますが、観ていないと理解できないでしょう。

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ようこそ。門松一里です。静かに書いています。

いつもは、
「あまり一生懸命になるな」という話
https://note.com/ichirikadomatsu/n/n081dd28c9a6c
とか、
【「沈黙」という話/「東アジアの思想」という話】リスト(16+36+号外1)
https://note.com/ichirikadomatsu/n/n416e39d84b94
という話を書いていますが、本当はノワール作家です。

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【時間と逆行】
小説を書くようになったからかしら、純粋な意味で観客として楽しめない自分がいます。イントロダクションが終わり、"TENET"というタイトルがでた時点で「あーこれアレだわ」と気づいてしまって、あとは2回目を観る感覚で記憶を逆再生しながら"みて"いました。

私はディスレクシアで数字の認識があまく、時間の感覚もあまいです。私自身が"逆行"している感覚もあります。精神的にはかなり変なほうです。一方で、ある程度の知性があるのでズレに困ります。結果を知っている私には、"原因"がかなり不安定に感じます。人を殺めた弾丸が薬莢に戻り工場で生産されるような感覚です。

たとえるなら、映画『ロード・オブ・ウォー』(Lord of War)のイントロダクションを逆再生した感覚です。もっとも、殺められた少年は何も知りえません。それが人生です。#blackjoke

時間の感覚が普通ではないので、同時進行で現在過去未来が混在しているような感覚があります。たぶん海馬の不良でしょう。記憶される順が変なのです。重要なものからインデックスがついてしまう感覚です。現在にいるのに、短時間で記憶されたものから過去になってしまいます。印象強いものは未来に期待させます。厄介ですが、慣れたかしら。

逆に言えば、時間の感覚がないので、ずっと続くような気というのが、あまり理解できなかったりします。

ヨハン・パッヘルベルの『カノンとジーグ ニ長調』はとても美しい旋律です。

2017年の『ダンケルク』(Dunkirk)では、音楽が効果的に使われていました。

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【映画を観るときの3ポイント】
田中泰延は街角のクリエイティブの「エンタメ新党」で、映画を観るときのポイントを3点述べています。

1. 映画監督は何本映画を撮っても言いたいことは同じ
2. 映画には意図のないシーンはひとつもない
3. 映画の半分は音だ
cf.
https://www.machikado-creative.jp/author/09/

「1. 映画監督は何本映画を撮っても言いたいことは同じ」は簡単です。テーマであり作風です。

音楽でいえば、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの曲はどうあってもアマデウスです。映画館であろうと、喫茶店であろうと、オフィスであろうと、どのような編曲をしてもアマデウスであり、他の何物でもありません。

それは、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンであろうと、ヨハネス・ブラームスであろうと、グスタフ・マーラーであろうと同じことです。作風ですから。

作家でいうなら、テーマでしょうか。手塚治虫のテーマはフョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーの『罪と罰』から。永井豪は『神曲』のダンテ・アリギエーリがテーマです。

「2. 映画には意図のないシーンはひとつもない」も簡単でしょう。映画は、上映できる長さにカットする必要があります。残した絵に、意図のないシーンが残されているはずがありません。珠玉のシーンばかりです。

カットされた映像が、たまに他の映画に使われることがあります。

たとえば、リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』の初期劇場公開版のエンドロールの空撮映像はスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』のオープニングの別テイクです。

それを知っている少年たちは、まったくやる気のないハリソン・フォードのナレーションと微妙なエイドロールというハードボイルドなフィルム・ノワールに熱中してしまったのです。

「3. 映画の半分は音だ」——恐怖映画を音声なしで観たことがあるでしょうか。

文章より絵画のほうが原始的です。絵画より音楽のほうが原始的です。
※それぞれの優越を説いている訳ではありません。成り立ちの順番です。

音声を効果的に使うことで、原始的な「恐怖」という感情を利用することができます。これは他の感情も同じことです。

アドルフ・ヒトラー率いる親衛隊の行進に軍靴の音が聞こえないと変でしょう?#blackjoke
※国家社会主義ドイツ労働者党の総統(フューラー)。そうとうな悪人である。

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【あらすじ−2】
東欧ウクライナの首都キエフのオペラハウスでテロが行われます。起こされた主人公は潜入チームとともに、鎮圧する部隊に紛れ、バレてしまったスパイを助け、ある人工遺物(アーティファクト)を回収します。敵の攻撃がありましたが謎の人物に助けられ、被害を最小限にとどめます。けれど、スパイは撃たれ主人公は敵に捕まってしまい、仲間の命を助けるために毒カプセルを飲んで自殺します。

主人公が目を覚ますと、ベッドでした。「第三次世界大戦を回避するため」に本人の意図は無視され、"死後の世界"で"TENET"として生きることを余儀なくされます。
※"TENET"は個人ではなく、主に集団の主義・教義・信条です。

科学者から、オペラハウスで見た奇妙な現象——まず弾痕があり、弾丸と薬莢が銃に戻る——の説明を受けますが、ちんぷんかんぷんです。何しろ科学者自身も"TENET"を理解しているとは言えないのですから。

ともあれ、物証として残る薬莢の製造元を調べることになりました。

英国の協力もあり、主人公は協力者ニールと合流しますが、秘密を知る武器商人には会えそうもありません。

武器商人のアジトに強引に忍び込んだ主人公とニールですが、武器商人は一枚上手です。冷静に対処する武器商人も"TENET"に関与しているようです。

敵は本当にプルトニウム241を使って第三次世界大戦を起こそうとしているのでしょうか。

踊らされる主人公ですが、なぜか協力者ニールは冷静です。

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【黒幕−1】
黒幕は、武器商人です。

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【解説】
どうしてみんな、冷静なのでしょうか。

それは「結果を変えられない」からです。

私たちが「結果を変えられない」ことと言ったら、不可逆性の時間と死でしょう。藤原道長の詩を思い起こします。

たとえば、エリザベス・キューブラー=ロスは著書『死ぬ瞬間』(On Death and Dying)のなかで、死の受容のプロセスを述べています。
※英文原本未確認。

1.否認——死を認めようとしません。
2.怒り——怒りを周囲に放ちます。
3.取引——どうにか考えます。
4.抗鬱(うつ)——何もしたくありません。
5.受容——ようやく受け入れます。
※ただし、全員がこのプロセスを通過する訳ではありません。

「結果を変えられない」こそ登場人物たちは、"結果"を変えられない「事象の死」だと認識しています。

「事象の死」の前では誰でも冷静です。ただし、それにも二種類あります。自身が回避できることと、回避できないことです。

協力者ニールは、回避できないこととして「事象の死」を受け入れています。

敵は、回避できることとして「事象の死」を受け入れようとしません。

そして、主人公も傷つき、回避できないこととして「事象の死」を受け入れます。

ただし、この「事象の死」があるからこそ、主人公たちはそのゼロ時間に集中します。「第三次世界大戦を回避するため」に、"死後の世界"で"TENET"として生きることになります。

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【あらすじ−1】
人工遺物(アーティファクト)は、過去につくられたものではなく、未来からきた9つあるアルゴリズムの1つでした。

すべてを手に入れた敵はアルゴリズムを発現させ、余命少ない自らの死とともに世界を終わらせようとします。

【あらすじ+−ゼロ】
地下核爆発が起こりましたが、アルゴリズムは発現せず、世界は救われます。

【あらすじ+1】
主人公と協力者ニールは、それぞれ回避した「事象の死」を、"TENET"で"結果"にするために歩み出します。

【あらすじ+2】
ある科学者が時間を逆行させるアルゴリズムを完成させ9つに分解し過去に隠したあとで自殺します。

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【ネタバレ−1】
ある科学者が時間を逆行させるアルゴリズムを完成させ9つに分解し過去に隠したあとで自殺します。

【黒幕+1】
ネタバレを読んでも理解できない人が多いでしょうから、(映画を一回しか観ていない私が)黒幕の正体をお教えしましょう。

黒幕は、マイケル・ケインです。#嘘

ジョークですって。
(私もマイケル・ケイン大好きっ子なのです♩)

黒幕は、未来の主人公です。

※以下、私見。

ありきたりで、映画を観ていれば当然予測できることですが、ただ、結果的にそうなっただけかもしれません。

「事象の死」に向かっていたのは、主人公の他の仲間も同じだったはずですから。

仲間の何人かは口を割らず自らを殺めた可能性があります。

そして、名も無い仲間も傷つき、回避できないこととして「事象の死」を受け入れたことでしょう。

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【ネタバレ+1】【黒幕+2】【アルゴリズムの10個目の部品】
黒幕は自分が黒幕だとは絶対に言いません。たとえそれが死にゆく者に対してもです。

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