『全米が○○した!』 春風亭貫いち

【以下、偏見が入り交じった、真実に裏付けられていないフィクションです。特定の個人・団体とは一切関係はありません。怒らないで読んでね】

アメリカ国民はとにかく大きくてド派手なものが好きである。
スーパーボウルやメジャーリーグ、NBA、WWEも全米が愛している。ハンバーガーやピザ、フライドチキンなどの巨大でハイカロリーなものを好んで食べている。おかけで全米が肥満気味で通院を余儀なくされている。
派手好きなアメリカの傾向は今も昔も変わらない。
アメリカ国民の初期メンバーたちは「イギリスって狭いよね!男はビックに海の向こうを目指そう」と言ってイギリス領を飛び出し、アメリカ大陸へと根を下ろした。勝手に飛び出して来てしまったので「調子こくなやっ!!」とイギリスから仕掛けられたこともあったが、全米が一致団結してこれに立ち向かっていった。
歴史の事業で習うペリー提督(本名 : マシュー・カルブレイズ・ペリー)は14歳でアメリカ海軍に入隊し、その約3年後には米英戦争の任務に着いた。この戦争にはいくつか原因があると考えられているが、とてもザックリ言うと、アメリカとイギリスの様々な思惑が交錯した小競り合いの数々が遂に戦争規模にまで発展したという話である。アメリカ的には西部を開拓して領土拡大を狙っていたが、インディアンと結託したイギリスにそれを阻まれていて、全米がイギリスに苛立ちを感じていた。
2年半もの米英戦争を経験したペリーは着々と出世を重ね、50をすぎる頃には艦隊の司令官を任されるまでになっていた。

「大統領、お呼びでしょうか?」
大「ペリー君、待ってたよ。すまないけどね、今からこの手紙を日本の徳川さんまで届けておくれ」
「分かりました、大統領……でも私、今、蒸気船作ってる真っ最中なんです。蒸気船海軍の司令官もやってるので、これ作り終わったら行って参ります」
大「おぉ~そうか、蒸気船の着工中だったか…じゃあ船の方は他の者に言っておくから、急ぎの用だから先に行ってきなさい」
「分かりました!……ところで大統領……この手紙どこ届けるんですか?」

――なんてことにはなっていないと思いますが……
東アジアに植民地、そして捕鯨船の寄港地が欲しいアメリカはペリーに「日本よ、開国せよ」と記した親書、もとい脅迫文を持たせ、日本に向かわせました。

こちらは日本、浦賀の漁師たちの会話。
「徳さんよぉ~もう今日の仕事止めねぇか?日も暮れてきてすぐに真っ暗になっちまう」
「あっ!すいません……明日の支度だけ済ませておきたくて……先にいつもの店に行ってて下さい。私もすぐに追いかけます」
「そんなこと言ってもなぁ~…どうせなら皆で行こうや。なぁ、皆?……ほら、熊も安蔵も八公も善さんも茂吉もそう言ってるよ。待ってっからよ、早く終わらせちまいなよ」
「皆さん、ありがとうございます。あなた方みたいな優しい人たちと仕事出来るって楽しいですね!江戸の親父には勘当されて、流れ流れてこの田舎まで来た時には死ぬ覚悟もありましたが、皆さんが拾ってくれたおかげです。一生懸命働きます」
「徳さん、思い詰め過ぎることがあるからな、程々にな」
「いえ、この仕事は楽しいです。こうやって海眺めているとーーあれ…何ですか?」
「どうした?」
「見えませんか?水平線のとこの黒い点」
「鯨でねぇか?」
「いや鯨じゃありませんよ、鯨は背中から煙出さないでしょ」
「鯨も泳ぎっぱなしで疲れるからな、背中に灸でもすえてんだろ」
「馬鹿なこと言っちゃいけません」
「おい…徳さん、あれ近づいてきてねぇか?」
「本当ですね」
「確かに鯨じゃねぇな。なんか頭に筒ついてるぞ」
「筒?……あぁっ!!!?」
「徳さん、どうした?」
「大変です、みんな今すぐ逃げて下さいっ!」
「だからどうしたって?」
「あれ、大砲ですよ」
「大砲?」
「戦で使う武器ですよ!江戸にいた頃、一度だけ見ました。あんなもの使われたらみんな死んじゃいます!!」
「なに、本当かっ!?こりゃいけねぇや!町のみんなにも知らせてやらなくちゃいけねぇ!
おい、お前らっ!!いまから町中走り回って逃げろって伝えてやれ。家具なんか後でいいから急げってなーー何をお前たちがモタモタしてんだよ?」
「「「いやだって急に怖くなっちまって」」」
「だらしがねぇな!熊と八、そこでガタガタ震えてんじゃねぇ!安蔵、お前身体デカいんだから、水瓶の中なんて隠れられるわけねぇだろ!茂吉、死んだフリするな!善さん…おいおい勘弁してくれよ、いい歳して漏らすなよ。徳さん、聞いてくれよ…善さんが、善兵衛が失禁したよ」

2020.9.26

来週は㐂いちです。

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