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キエフと「インセプション」と「ラジオスターの悲劇」で時間と空間がひん曲がった
「バットマン」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」をはじめ、誰もが耳にしたことのある数々の名曲で知られる映画音楽界の巨匠、ハンス・ジマー。
このハンス・ジマーが、3月25日のロンドンでのコンサートを中断して、会場に映し出したのがこの映像(と演奏)。
ウクライナの首都キエフで、空襲警報が鳴り響く中を Alex Pian というピアニストが(ハンス・ジマーが作曲した)映画「インセプション」の曲、「Time」を演奏する姿。
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「インセプション」は、世界の時空がグワァ〜ンと壮大にひん曲がっていく場面がとても印象に残っているけど、この Alex さんのピアノの演奏は、ロシアのウクライナ侵攻を機にグワァ〜ンとひん曲がった世界の中にあって、懸命に真っ直ぐさを保とうとしているように聞こえる。
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「巨匠」のハンス・ジマーは、もともとキーボード・プレーヤーだった人。1979年のバグルス「ラジオスターの悲劇(Radio Killed The Radio Star)」MVでその姿を見ることができる。
リアルタイムで「ラジオスターの悲劇」を聞き、MVを見ていた世代としては、「『ラジオスター』の中の人」が映画音楽界の巨匠になっていることだけでものすごく隔世の感をおぼえてしまう。
だから、Alex Pian による「Time」の演奏は、「ラジオスターの悲劇」の10年前の、「プラハの春」直後の旧ソ連によるチェコ侵攻の時代に逆もどりしたかのようなキエフの街で、巨匠となった後の「『ラジオスター』の中の人」がつくった曲が空襲警報のただ中で響きわたっているわけだから、こちらの時空の感覚もグワァ〜ンとひん曲がってくるように思えた。