新しい環境になじむことは、気づかれを乗り越えて新しい文化を身につけること
新しい環境になじむまでには何かと気づかれすることが多い。この気疲れがどこから生まれてくるかというと、新しい環境には、そこ特有の文化が存在しているから、新たな文化を自分のものにするプロセスが気づかれを生じさせることになる。
ハーバード・ビジネスレビューの「新しい職場で働き始める時、なぜ居心地の悪さを感じるのか」という記事は、その過程で何が起きるのか? これにどう対処すればいいのか? を教えてくれる。
また、ここに描かれている「文化適合」のプロセスを知ることは、「部外者」を仲間として迎え入れる側のメンバーに必要となる心がまえについても大きな示唆を与えてくれる。
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文化というと、何かとボンヤリした言葉で語られることが多いけど、一言でまとめてしまえば、「集団が共有する暗黙知」あるいは「暗黙知を集団が共有している状態」ということになるだろう。
暗黙知という言葉はとても大げさに響くけど、ようするに「当たり前」すぎて深く考えないこと。だから暗黙のうちにみんなが「だいたいこんなもんだ」と思っている言葉や行動、髪型や服装といった見た目に行動のパターン、さらには人と人の関係が生まれてくる。
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だから、新しい環境になじむということは、自分が感じる「当たり前」とは違う種類の「当たり前」を自分のものにすること。
でも、最初は、その「当たり前」のラインがどこにあるのかが分からない。
そういうわけで、これを共有できるようになるまでの宙ぶらりんな状態に置かれると、なにかと気疲れすることになる。
分からないのは言葉ではなく、その言葉によって示されている暗黙知。それが分からないと、「部外者」意識が高まってしまう。それが気づかれを生む。
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暗黙知としての文化には、これから何がどうなるかについての漠然とした感覚も含まれる。だから「先が読めない」感覚が気づかれの大きな要因になる。
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暗黙知を共有するグループとそうでないグループの間には越えがたいミゾが生まれる。
これを乗り越えるためには、「まずは、何人かと話をすること」が大事。そうすることで、「その人たちのことを知り、職場でメンバーがどのように関わり合っているかを学ぶ」ことができる。それは同時に、集団が共有する暗黙知を自分のものにすることでもある。
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でも、何をどうやっても新しい環境になじむまでには気疲れはするもの。そういうときは(もちろん記事にはそんなことは書かれてないけど)Perfumeの「ワンルーム・ディスコ」を聴くのがいいと思う。
そういうつもりで歌詞をながめると、新しい環境や職場になじむまでのプロセスと、そこに生まれてくる気づかれ、さらにこれを乗り越えるにあたっての心がまえがしっかりと描かれているように思えてくる。
音楽に揺られながら、「たぶん できるはずって 思わなきゃしょうがない」と思いながら、「異文化」に適合するための計画を練る。
そうこうするうちに、気がついたら新しい文化が自分のものになっている。この記事が語っているように、当初の不安が解消しているだけでなく、いろんなことが「当たり前」の「暗黙知」として、意識にすら上らなくなっているんだと思う。
新しくやってきた人を出迎える側のメンバーにとっても、このプロセスを知ることで、「新参者」が「他のメンバーと知り合うのを助け、職場の会話に加われるようにする」ためには何をすればいいのかを知る大きな手がかりを与えてくれると思う。