#2 良問日誌〜2024東北大学文系③理系②
はじめに
前回の記事はこちらから
今回は2回目。東北大の文理共通問題である。私も東北出身の浪人生であるため、共に研鑽を積んだ仲間が解いた問題だと思うと感慨深い。
(※TeX表記に慣れていないため見づらいところがあるかもしれません)
筆者の実績(理系)
京都大学入試実戦模試(夏) 偏差値79.6
京都大学オープン模試(夏) 偏差値75.2
京都大学入試実戦模試(秋) 偏差値74.2
阪大入試実戦模試 数学全国2位
その他全国模試では常に偏差値70↑をキープ
問題
問題方針
(1)は不等式の証明問題である。
不等式の証明問題は
(左辺)-(右辺)>=<0を示す。(平方完成や微分利用)
有名不等式の利用(相加平均•相乗平均の利用、三角不等式の利用など)
凸性の利用
などが一般的であるが、今回のように
「求める式に形を近づける」
というパターンも多い。
今回は解答作成も同時に行う。
前回と同様に今回も条件を整理しよう。
$${(a) x>\dfrac{1}{\sqrt{t}-1}}$$
$${(b) x\geqq 2log_t x}$$
この2つが今回の条件である。
この2つの条件を
$${x+1>2log_t (x+1)}$$
の形に近づけるのだ。
まず$${(a)}$$の分母を解消しよう。両辺に$${\sqrt{t}-1}$$をかけると、
$${x(\sqrt{t}-1)>1}$$
$${x\sqrt{t}-x>1}$$
$${\sqrt{t}}$$は求める式に含まれていないため解消する必要がある。
$${\sqrt{t}}$$を求める式にある形で変形するためには、$${log_t}$$を使うと良い。
$${log_t x\sqrt{t}>log_t (x+1)}$$
$${log_t x+\dfrac{1}{2}>log_t (x+1)}$$
両辺を$${2}$$倍すると
$${2log_t x+1>2log_t (x+1)}$$
右辺の形は完成したので、左辺を$${x+1}$$に近づければよい。
ここで$${(b)}$$を用いると、
$${x+1\geqq 2log_t x+1>2log_t (x+1)}$$
となり証明終了だ。
いかがだっただろうか。求める形に近づけて不等式を証明することは難関大でよく出題されるので覚えておいて欲しい。
(2)n絡みの証明問題では
「数学的帰納法」
を第一に疑う。
そして今回のように手で書けそうな関数の証明問題ではグラフを用いて考えてみると良い。
今回は$${y=x}$$,$${y=2log_2 x }$$の上下関係を調べると示すべき条件が視覚化されてわかりやすいだろう。(GeoGebraを使って実際に見てみるとよい)
解答
(1)省略
(2)$${n\leqq 2log_2 n ・・・(\ast)}$$
$${n=1}$$のとき$${1> 2log_2 1}$$
よって、$${(\ast)}$$は成立しない。
$${n=2,3,4}$$のとき$${(\ast)}$$は成立する。
$${n\geqq 5}$$のときに$${n> 2log_2 n}$$となり$${(\ast)}$$が成立しないことを数学的帰納法を用いて証明する。
$${(i) n=5}$$のとき、
$${2log_2 5 = log_2 25 < log_2 32 = 5}$$
よって成立。
$${(ii) n=k (k\geqq 5)}$$のとき、$${n\geqq 5}$$のときに$${n> 2log_2 n}$$となり、$${(\ast)}$$が成立しないと仮定すると、
$${k>log_2 k}$$が成立する。
また、$${k\geqq 5}$$より、
$${k>\dfrac{1}{\sqrt{2}-1}={\sqrt{2}+1}}$$が成立。
よって、(1)の$${(a)(b)}$$が成立しているため、(1)の結論が使用でき、
$${k+1>2log_2 (k+1)}$$
よって、$${n=k+1}$$のときも$${n\geqq 5}$$のときに$${n> 2log_2 n}$$が成立し、$${(\ast)}$$成立しない。
以上より$${(\ast)}$$が成立するのは
$${n=2,3,4}$$
まとめ
今回の問題はどこの大学でも出ておかしくないレベルの問題である。不等式評価には様々な証明方法があるので、各自で色々と試行錯誤してほしい。
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