#4 良問日誌〜2024慶應義塾大学経済学部⑤
はじめに
前回の記事はこちらから
旧帝大の問題が続いたが早慶からの出題である。文系受験生はlogを苦手としていることが多いが、慶應経済の数学では頻出であり、かつ良問も多い。この問題を通して経験値を上げてほしい。(と言ってもこの問題はほぼ整数問題である。)
本日3/25は私の誕生日であった。お祝いのメッセージお待ちしてます。
筆者の実績(理系)
京都大学入試実戦模試(夏) 偏差値79.6
京都大学オープン模試(夏) 偏差値75.2
京都大学入試実戦模試(秋) 偏差値74.2
阪大入試実戦模試 数学全国2位
その他全国模試では常に偏差値70↑をキープ
問題
問題方針
条件が多いので良問日誌#1と同様に条件を整理しよう。
$${x>0 \land x\in\mathbb{R}・・・①}$$
$${m,nは}$$
$$
m\leqq log_4 \dfrac{x}{8}
$$
$$
n\leqq log_2 \dfrac{8}{x} \\
$$
$${を満たす最大の整数・・・②}$$
$${α,βは}$$
$$
α=log_4 \dfrac{x}{8}-m ・・・③
$$
$$
β=log_2 \dfrac{8}{x}-n ・・・④
$$
(1)はただの計算問題なので解答参照。底を$${2}$$に揃えるだけである。
(2) 求めるものは$${α}$$,$${β}$$の範囲である。(これらが求まれば$${2α+β}$$の範囲も求まる)
問題文の条件②,③,④を用いると$${α}$$,$${β}$$の範囲が定める。
(3)$${α}$$,$${β}$$,$${m}$$,$${n}$$の4変数であるため、$${α}$$と$${β}$$,$${m}$$と$${n}$$で分ける($${α}$$,$${β}$$は(2)で範囲が分かっているためそれを使って$${m}$$,$${n}$$を絞り込む)
(4) 解答参照
解答
(1) $${log_4 \dfrac{x}{8} = m+α}$$ より、
$$
\dfrac{log_2 \dfrac{x}{8}}{log_2 4} = m+α
$$
$$
log_2 \dfrac{x}{8} = 2(m+α)
$$
$$
log_2 x - log_2 8 = 2(m+α)
$$
$$
log_2 x = 3+2(m+α)
$$
(2)$${α}$$と$${β}$$は問題文の条件②より、
$$
0\leqq α < 1 \\
0\leqq β < 1
$$
となるため、
$$
0\leqq 2α+β <3
$$
これを満たす整数は$${0,1,2}$$のみ
(3)まず(1)で$${m}$$と$${α}$$を$${log_2 x}$$で表したので$${n}$$と$${β}$$も同様の操作を行う。
$$
log_2 x = 3+2(m+α) ・・・・・・⑤
\\log_2 x = 3-(n+β) ・・・・・・⑥
$$
$${⑤}$$と$${⑥}$$を連立させて$${m}$$と$${n}$$,$${α}$$と$${β}$$を分離する
$$
3+2(m+α) = 3-(n+β) \\
2m+n = -(2α+β)
$$
ここで問題文の与えられた条件$${n=m-1}$$を用いると、
$$
-(2α+β)=3m-1 \\
2α+β=-3m+1
$$
ここで
$$
2α+β\geqq 0 \\
m\geqq 0
$$
であるため、
右辺と左辺は共に正になる必要があり、$${m=0}$$が必要。
$${m=0}$$のとき、
$${n=m-1}$$より、
$${n=-1}$$
$$
\therefore m=0,n=-1
$$
(4) (3)より$${m=0}$$,$${n=-1}$$であるため、求める必要十分条件は$${m}$$,$${n}$$の定義より、
$$
0\leqq log_4 \dfrac{x}{8} <1 \land -1\leqq log_2 \dfrac{8}{x} <0
$$
$$
1\leqq \dfrac{x}{8} <4 \land \dfrac{1}{2}\leqq \dfrac{8}{x} <1
$$
$$
8\leqq x <32 \land 8 < x \leqq 16
$$
$$
\therefore 8< x \leqq 16
$$
まとめ
今回は条件が少なかったため、少し思考が必要だった。文字に関する条件を整理し、条件から範囲を絞ることはよく行う操作である。一つ一つ丁寧に条件を処理しよう。
実際の慶應経済の試験では(1)を解けているだけでも十分に合格可能である。底の変換を忘れていたら必ず復習するように。
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