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~第165回~「出雲とスサノオノミコトの話」

夏越の大祓がある六月はスサノオノミコトの神話や信仰をご紹介しました。

スサノオノミコトは『出雲風土記』にも見えるように、元々は出雲地方で信仰されていた神であったと思われます。

それがうかがえる時期は十月です。

十月の別名は「神無月」。

出雲国に「全国の神様が集まる」ので、全国的には神無月となり、出雲では神在月とも言われております。

その理由は諸説ありますが、出雲大社に見られる説が一般的でしょう。

これは、国譲りを経て、顕露(目に見えること、政治)を天孫が支配し、オオクニヌシは幽事(目に見えないこと、人間の能力を超えた神々の事)を支配することになったので、十月に全国の神々がその下知を受けに出雲国に集った、という説です。

それ以外の説もあり、その中の一つにスサノオノミコトに由来する説もあります。

「出雲大社祭神十月統治説」とも呼ばれるこの説は、様々な理由から一年のうち十月だけは、天照大神ではなく出雲大社祭神が日本を統治しているので、出雲大社に集うのだとしています。

この考え方は中世に広まっており、この出雲大社祭神がスサノオノミコトのことだと考えられています。

平安初期(九世紀ごろ)成立の『先代旧事本紀』に「建速須佐之男尊は出雲の国の熊野・杵築の神の宮に坐す」とあり、両大神に代わって建速須佐之男尊=スサノオノミコトが登場しております。

この他、十世紀成立の『権記』には、出雲国が「熊野(松江市熊野大社)・杵築(出雲市出雲大社)両神の祭があるため、国内の政務を停止しており、犯罪者の裁判ができない」と記されております。

これら書物から、少なくともこの頃から十月が重要視されていたことやスサノオノミコトの存在がうかがえます。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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