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友人を訪ねてFredericiaへ/スウェーデン・デンマーク旅行記 Day3-4

3日目。早朝のまだほんのり暗いÖlandを出発して、またも友人が待つデンマークのFredericiaを目指す。Copenhagenから西へ電車で2時間ほどの小さなまちで、そこに仕事の都合で海外赴任をしている大学時代の後輩がいる。

彼女と会うのもほぼ10年ぶり。短期間、バイト先が同じだっただけで、学年も学部も違ったので、学生時代ですらほとんど交流はなかったけれど、SNSを通じてお互いの近況を知り、再会が実現することとなった。人生って、ひょんなことからこういうことが起きるからおもしろいし、時に縁を繋ぎ直してくれるSNSって侮れないなと思う。

Fredericiaまでは電車を2本乗り継いで移動した。電車の座席指定のルールがイマイチよくわからない。購入したいちばん安い切符は、座席は指定されていないよう。他の乗客を観察していると、特に座席番号を確認せずに座っているようで、車内はがらがらだったので、とりあえず空いている席に座った。

途中、見回りに来た駅員さんの切符点検は問題なくクリア。座っていても大丈夫そうだ。安心して、ぼんやり窓の外を眺めたり、お菓子をつまんでのんびりしていると、途中で乗り込んできた乗客に、その席を予約しているのだと声を掛けられ、慌ててSorry Sorryと頭を下げて、逃げるように席を空けた。こういう時、咄嗟に頭を下げ、謝りまくってしまうところが、わたし、生粋の日本人。

すでに車内は席が埋まっており、なんとか見つけた空いている席で、とりあえず両手にぐちゃぐちゃに抱えていたコートやらマフラーやら荷物やらを整える。ただ、そこはどう考えてもわたしのような貧乏旅人が座っていいような空気ではなかった。他のエリアとは自動ドアで区切られており、立派なテーブルがついたふかふかの席、数人だけいた乗客は皆いかにも余裕のありそうな風格。とりあえず荷物をまとめる間だけ…と思って、バタバタしているとちょうどまた見回りの駅員さんが来てしまい、恐る恐るスマホを見せると「ここはファーストクラスだ、あっちに行け」といった感じで、追い出されてしまった。

またペコペコ頭を下げて移動し、後ろを振り返れば、自動ドアに大きく「1」と書かれていた。結局、その後は車両と車両の間で立ったまま、電車がFredericia駅に到着するのを待った。

仕事終わりの友人が駅まで車で迎えに来てくれていた。彼女のアパートで一休みさせてもらってから、夕方のまちを散策しつつ、どこから話せばいいのかわからない10年分の話を次から次へとしゃべった。海外赴任という、自分とは全く違う境遇でデンマークまで派遣されている彼女との話もまた、興味深いものだった。ここでもまた、お互いにたくさん励まし合って、一緒に食事をして、エネルギーを交換した。

4日目は1人でまちを散策。友人が住んでいなければ、きっと足を運ぶことはなかったであろう小さなまち。Apple musicが薦めてきたどこの国のものかもわからない、インストミュージックをイヤホンから流し、前日に教えてもらった海辺の小道から散策をスタートする。桟橋から水中を見下ろすと、水は透き通っていて、寒くなければ泳ぎたいくらい。

うつくしい音楽と景色、それから秋の哀愁漂う空気は不意にセンチメンタルな気分を誘うから危ない。突然、今、自分が友達を訪ねて北欧を旅していることが信じられないような気持ちになって、幸せなのか哀しいのかもわからなくなった。そんなことを考えながらぼんやり海を眺めていると、わたしと入れ替わりで桟橋の先っぽへ向かった女性が、おもむろに服を脱いで水着姿になり、水の中へと入っていくのが見えた。

海から少し離れて、まちの中心部へと向かう。フィンランドともスウェーデンともまた雰囲気の違う、カラフルな壁面に赤茶色の屋根のかわいらしい家々が軒を連ね、数軒おきにハロウィンのかぼちゃが玄関先に置かれていた。

普段、パンやパスタが多くなりがちなので、旅先とはいえ、外食をするとなるとエスニックなものが食べたくなる。けれど残念ながら、ランチを食べようと思っていたタイ料理屋さんが休みだったので、途中、スーパーに寄って、パンとココアシェイクを買って、広場のベンチに腰掛けて食べた。

それから、Googleマップをざっとチェックして見つけた塔を目指し、再び散策へ。旅先で高いところを見つけると、上らずにはいられない。無人の塔には、入り口に電子決済の端末が設置されていて、入場料を払うと中に入ることができる。塔の上からはかわいらしい街並みが一望できた。どうやらこの塔の周辺は、1849年のフレデリシアの戦いで、デンマーク軍が勝利をおさめたことから、ちょっとした観光名所になっているようで、歩兵の銅像や記念碑のようなものがいくつかあった。地図で見ても要塞の跡か、水路が流れているのがわかる。

たっぷりと散策を楽しんで、夕方に仕事を終えて戻ってきた友人と合流。最後に見せたい場所があると、車を数十分走らせ、自然公園へ連れて行ってくれた。そこには、野生のシカがたくさん生息していて、この日も遠目にシカの群れが夢中で草を喰む様子を見ることができた。

実はÖlandでも、目の前で牛を見ていて、北欧ではまちを少し離れれば、野生にしろ家畜にしろ動物の存在が本当に身近。そのほかにも、今回の旅では友人たちのおかげで、都会の観光だけでは味わえない景色をたくさん見せてもらった。

翌日はいよいよ最後の目的地、Copenhagenへ。ここまでの旅とは打って変わって、王道の観光地を中心に見たい場所がたくさんある。ベッドに横になりながら、ピンだらけのGoogleマップをおさらいした。

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