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ディスコ直下の船室で不眠の一夜/スウェーデン・デンマーク旅行記 Day0

10月末に念願のスウェーデンとデンマークをめぐる旅へ出掛けた。
現地に住む日本人の友人と10年越しの再会を果たし、新しい景色やうつくしいものにたくさん触れ、長い移動ではぐるぐると延々考えごとをした、濃密な1週間。

何かと落ち込みがちなこの季節に、前向きなエネルギーがじわじわと湧いてくる時間となった。

旅の行程はざっくりこんな感じ。

とにかく費用を抑えたくて、最安の移動手段を組み合わせた結果、交通費は合計約240€。

Day1 Turku-[夜行船 10h]-Stockholm-[バス 6h]-Öland
Day2 Öland
Day3 Öland-[電車 4h]-Fredericia
Day4 Fredericia
Day5 Fredericia-[電車 4h]-Copenhargen
Day6 Copenhargen

船、バス、電車、そして最後は飛行機。
のりものに揺られている時間が長かったのは、考える時間がたっぷり取れて、かえって良かった。
出口が見つからないような悩みも、抱えきれないほどの不安も、旅先では不思議と軽やかに捉えることができるから。


TurkuからStockholmまではバルト海を渡って、船での移動。夜8時ごろに出航して、早朝に到着する便で、船内で1泊するという旅程だった。

船の中で一夜を明かす。これだけでも、かなりわくわくする。飛行機なら1時間足らずで着いてしまうところを、船旅は絶対だと前々から決め込んでいた。

フィンランドで暮らしているとはいえ、海外旅行の経験はほとんどなし、よく考えてみれば1週間旅行に出ることさえしてこなかったので、やや緊張気味。ほとんどが家族連れか、友人グループで活気づくターミナルでは、ちょっとした冒険に出るような気分で、船を待った。

それでも、着いた先で自分を待ってくれている友人がいることを思うと、とても心強かった。


出航15分前ほどに、ようやくゲートが開き、どどどっと乗客が船に乗り込む。船の入り口では、若干偽物っぽいムーミンとリトルミイが手を振って乗客を出迎えていた。

わたしが予約していたのは窓なし、シャワー・トイレとソファベッドを備えた一番安価な部屋。それでも清潔感があって、居心地は悪くなさそう。むしろこのチープな感じと狭さが、冒険らしくてテンションが上がる。

この時はここが最悪のロケーションだということをまだ知らなかった。

船はお酒や化粧品の免税店、バー、ディスコなどの設備が充実していて、免税店は大量のお酒を買い込む人で溢れかえっていた。フィンランド人にとって、Stockholm行きの船の中で夜通し飲んで踊って、パーティを楽しむのは定番のレジャーだと聞いていたので、なるほど、その準備かと思いながら、わたしはその列に混じり、缶ジュースを1本買って部屋へと戻った。

シャワーを浴びて、缶ジュースを片手に、ノートPCを開き、途中まで見ていた英語のアニメを続きから再生して、翌朝も早いことだから早めに寝ることに。

しかし、ここでこの部屋が爆音で音楽が流れるディスコ直下にあることに気づいた。

アニメを見ている時はそう気にしていなかったけど、部屋が丸ごと、ずんずんと振動し、大音量のダンスミュージックが上から漏れ流れてきて、とても眠れるような状況ではない。仕方なしにイヤホンをして入眠できそうな音を流すものの、ディスコには勝てず。そのうち静まるだろうと我慢していたけれど、結局明け方までパーティは続き、ほぼ一睡もできずに朝を迎えた。

これもまたフィンランド人の新たな一面か…。眠い目をこすりながら、朝6時のStockholmに降り立つと、空の奥の方が明るんできていて、キリッと肌寒い朝の空気に一瞬で目が覚めた。

Stockholmの滞在時間は、友達が待つÖland(正確にはその最寄りのKalmar)へと向かう長距離バスに乗るまでのおよそ6時間。

港からまだ暗いまちをゆっくり歩いて、旧市街Gamla stanを目指すことにした。


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