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勝手に生きろ。アナキズム万歳!!豊田市美術館「しないでおく、こと。」/一日一微発見495

割引あり

赤か黒か。
ヘルメットの色の話である。僕が大学生活をすごした70年代の京都は、まだ学生運動の「残り火」がくすぶっていた。赤はブント系で、黒はアナキズム系。

僕はノンポリで、どちらの色も好きだった。しかし、そのレジストの心情はイデオロギーや思想を信じて心中する話ではなくて、もっと直感的、生理的なものだった。コンフォルミズムという同調圧力が嫌いな性分だったから、体制であれ反体制であれ、性に合わないものには、ひたすら反抗的だった。だから全くの個人信条、いや熱病としてのアナキズムだった。

20代は、大杉栄にはじまりロープシンやバクーニン、プルードンばかりか、マリア・スピリドーノワの回想録までも乱読。そしてフーゴ・バルやダタイズム、ロシアアヴァンギャルドが好きだった。30代に『独特老人』のインタビューを続けている時には、アナキズム詩人の生き残り小野十三郎に会いに行った。壮年になってからは、キュレーターのハラルド・ゼーマンのキュレーションが今でも保存されているスイスのモンテ・ヴェリタに、2017年と昨年2024年2度巡礼した。
それから、デヴィッド・グレーヴァーやグリーンアナキズムには、ひどく共感している昨今である。

当然のことながら豊田市美館でやっている展覧会「しないでおく、こと。ー芸術とアナキズム」に行かないわけにはいかない。

モンテ・ヴェリタも展示の中に出ているし、なおかつ、我が「仮の家」を建てたdot architectsが首謀する「コーポ北加賀屋」も「出品」しているのだからなおのことである。

結論的に言えば、面白い展覧会ではあったが、もの足りなかった。

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