メゾンミハラヤスヒロのアートフリーペーパーDOIROBUTA#5について/一日一微発見279
浅草の「すしや通り商店街」は、その日の夕方だけは別の街に変身していた。東京は日増しにオミクロン感染者が増えて、さすがの浅草も盛時に比べたら人の出も少なく、穏やかだったが、
雷門から歩いて5分ぐらいの「すしや通り商店街」にやってくると、そこには映画の撮影所さながらの照明つきのトラスが通りの左右に立てられて、今から何やら「面白そうな出来事」が暴発しようという雰囲気がプンプン漂っていた。
通りにはカメラマンやムービーの撮影クルーが大挙しているし、背の高いモデルたちが「リハ」っぽく歩いていたりもする。
ファッション関係者が、おもむろにゾロゾロお出ましで、いつもなら「すしや通り」に全くいないであろう「オシャレ」な連中が砂糖水に虫が集まるみたいにひたひた寄せてきているのだ。
あと30分ぐらいでメゾンミハラヤスヒロのショーがはじまる。
本当なら彼らはパリコレなのだが、コロナ禍ゆえに、それを逆手にとって、東京でパリコレ並の予算と意気込みをかけてショーをやり、それをパリ経由で世界に配信しようとしているのである。
僕はグラフィックデザイナーの林修三を誘って、この日のショーと、ここで配布されるアートフリーペーパー「土色豚DOIROBUTA#5」の艶姿を見に来ているのである。
土色豚とは、メゾンミハラヤスヒロの三原康弘がプロデューサーで、僕がキュレーションと編集を受け持つ(そして林がデザイン) 40Pオールカラーの大判のアートフリペで、春夏/秋冬の年に2回のショーに合わせて作られる印刷物なのだ。ちなみに土色豚という不穏な名前は、「タブロイド」の逆読みのナンセンスで、三原康裕の考案である。
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