日本画家・石本正の絵のエロス(生きる喜び)について/一日一微発見272
僕は日本画家・石本正の絵をずいぶん前から愛している。
ちょうど今年は、石本さんの生誕100周年(彼は95歳まで生きたのでまだ没後は5年でしかないのだが)にあたっていて、故郷の島根にある石正美術館や島根県立美術館、そして浜松にある秋野不矩美術館でも充実した展覧会が開催されている。
どうして浜松の秋野不矩美術館で石本さんの展覧会が行われているかというと、彼が秋野さんを姉のように慕い、共に創画会のメンバーであったという強い縁によって結ばれているからである。2人は互いに尊敬しあっていたのだ。秋野さんが亡くなった時に、葬儀で弔辞を読みあげたのも石本さんであった。
僕は90年代に日本美術誌『古今』を、細見美術館長の細見良行と共に主宰していたことがある(僕と細見は大学の同窓生なのである)。
僕はコンテンポラリーアートや現代写真が専門であるが、実は日本美術も実に好きだ。『古今』の頃から石本さんの世界を取り上げたいとずっと願っていたのである。
だから2000年代に入って、僕が京都造形大で教えるようになったの時に、同じ大学の日本画コースで石本さんが教えていることを知ってとてもうれしかった。
そして、石本さんが学内ギャラリーの(今はもうない)RAKUで展覧会をされたタイミングでインタビューする機会を得たのは奇縁だった。
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