美術館巡りの歓び1(ヴェニス編)ペギー・グッゲンハイム・コレクション/一日一微発見340
ヴェネツィアの愉しみはカナルグランデを行き交うヴァポレットから見える、水際に建てられたパラッツォの数々であり、その隙間に作られた「秘密の花園」だ。
僕も海辺の「仮の家」を作ってからは海風に強い樹木は何かと考えるようになったので、ヴェニスは「秘密の花園」づくりを学ぶ場所にもなった。例えばピンクの花をつける夾竹桃はこの海の都市にどれほどまでに「天国感」を与えてくれていることだろうか。
京都の坪庭が内側にあって見えないように、ヴェニスの庭もなかなか見ることができないが、公然とその中に入ることができるのはグッゲンハイム美術館だ。
僕はサルーテのエリアが定宿のエリアなので、今までも、ビエンナーレに行く隙間をぬってここにはしょっちゅう通った。
NYのグッゲンハイム美術館はフランクロイド・ライトの設計で、あの螺旋型の構造体ゆえに壁が湾曲して、巻貝のようになっているユニークなものであるのに対して、ヴェニスのそれはペギーの私邸をそのまま美術館の建物として使っている(ペギーがNYで開廊していたギャラリー「この世紀の美術」もまた壁面は上下に丸かった。このヴィジョンにはキースラーの思想なども反映しているのだろうか?それもまた調べてみたい)。
さて、ヴェニスの美術館巡りでも、僕はジェットラグの身体と精神をまずはほぐすためにまずここに来る。
入り口の黒い鉄のオーナメントの扉のところに立つと、いつも「秘密の花園(アートの)」に入るのだとワクワクしてしまう。
数年前にG/P galleryの小山泰介君らと集団でヴェニスに来たときに、偶然にも手配していたAirbがグッゲンハイムの隣の民家で、グッゲンハイムの建物を見ながら目が覚めるというのは、ミラクルな体験であった。
折しも今回はちょうどヴェニスビエンナーレに合わせて『シュルレアリスモ& マギア』という特別展が開催されていた。共同企画とは名うってはいないが、ビエンナーレ会場に入る前にこの企画展を見れることはラッキーだった。
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