2022年、僕の「今年の読書」。意外にもブラッサイ『語るピカソ』/一日一微発見357
誰もが実感していて口現しないことだろうが、ポスト・モダニズムは、本当に失効 したと思う。
僕はポスト・モダンの世に生きてきたのだが、終わった。ブルーノ・ラトゥール的に言えば、そんなものは、はなからなかったのかもしれない。いや、そんなポスト・モダンの失効を通達するラトゥールも、ジェームズ・ラブロックみたいな、地球、いやガイアに再び降り立とうという巨人たちも今年、さっさとこの世を去ってしまった。
あ、ゴダールもか。
ロシアのウクライナ侵攻とNATO +アメリカの動きを日々見ながら核戦争のリアルをイメージしつつ、しかし日々仕事に追われていると、柄谷行人が『力と交換様式』を発表してくれて、すぐにAmazonで注文したり。
イーロン・マスクのtwitter買収騒ぎ。アメリカ大統領選の前哨戦の中間選挙も、トランプが大コケの大茶番だが、もはやこの地球には、夢も希望も残ってはいない。
まあ、こんな時は、石川淳や橋本治が今乱世に、「江戸に亡命」していたことの気持ちがひしひしと感じられてくる。
そう亡命しなくっちゃ。
フーゴ・バルが大戦の時に出した『時代からの逃走』だ。
さて、今年もたくさんの本やアートブック、写真集を買い、乱読した。
暮らしの中に、新聞もTVもなく、アートの世界(今年からはガーデニングの世界が加わった)に亡命している者が「今年の読書」などと言っても、はなから意味などないだろう。
今年の個人的な出来事といえば、スタジオ兼ガーデンの「仮の家」を浜松の三ヶ日に建てて妻と亡命したこと。
そして、まだコロナ禍おさまらぬさなかに、ヴェネツィア・ビエンナールとカッセルのドクメンタ15のためにヨーロッパに旅行したことだ。
その旅の詳細は別に書いたので、くり返さないが、個人的事件としては、ヴェネツィアで「シュルレアリスムとマギア」、そしてフランクフルトの現代美術館MMKで、マルセル・デュシャンと「再会」したことである。
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