トップギャラリー、ハウザー&ワースがメノルカ島につくったアートサイトを見に行く/一日一微発見382
「直島」を想像してもらうとわかりやすいが、アートとツーリズムが世界的に結びつくこと、これはある種の定式になりつつある。
とりわけヨーロッパは7月が近づくとバカンスシーズンを控えて、誰もがリゾートでホリディをすごすことで頭がいっぱいになる。ロンドンやパリから人々が大移動するのは、あたりまえなのだ。
アートバーゼルが終わると、いよいよ夏の到来だ。そのこともあって2021年にトップギャラリーであるハウザー&ワースが地中海のメノルカ島の中の、さらに小島 のILLA de REI (王の島)につくったアートサイトにどうしても行きたくなった。
ハウザー&ワースは世界一のトップギャラリーで、2023年のアートバーゼルでも期間中に100億円を売りあげて、話題をよんだ。スイス人ギャラリストであるイヴァン・ワースの凄腕の成果である。
しかし、このギャラリーは、アートワールドの中核的存在でありながら実に野心的だ。僕はリスペクトしている。
コロナの最中にはオンラインセールスの仕組みを開発すると同時に、イギリスのサマセットやメノルカ島という大都市から遠く離れた場所に、新しいタイプのアートサイトを次々に作り、成功させているのだ。
それは妻のマヌエル・ハウザーの哲学によるものだと勝手に想像している。彼女は学校の先生をしていたこともあって、地域コミュニティや教育など文化活動に力を入れている。ハウザー&ワースはすぐれた出版物も手がけているが、ここにもマヌエルの意向が働いているのかもしれない。
また、このサマセットやメノルカには、今最もすばらしい庭づくりをしているオランダのガーデナーであるピエト・アウドルフを起用して、アートだけでなく世界中のガーデン・エースジアニストの注目も集めてもいる。
まさに、アールドヴィーヴルの哲学実装の場なのである。
普通、日本人でも地中海の島に行くとすればレイヴで有名なイビサ島であり、メノルカに行く人はまだいそうにない。
しかし、コロナの最中に、ハウザー&ワースがメルカに新たなアートサイトをつくったと聞いて、行きたい衝動が沸々湧いて止まらなかった。
僕と妻の渚の旅の基本は珍道中である。
基本的には、お金は極力かけないし、アパートメントホテルをかりて、物価の高いスイスなどではマーケットに行って、そこの食材を渚が料理する。僕らはマーケット(メルカート)をめぐるのが大好きなのだ。
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