割れた鏡が導く/一日一微発見168
ヨーロッパでは、スペインもフランスもベルギーもスイスもふたたび、コロナが猛威をふるっている。
次々に都市はロックダウンに追い込まれている。
これを書いている今日は、アメリカ大統領選の開票中で、バイデンが過半数にリーチをかけているが、トランプは根拠もないのに最高裁への訴訟をしかけていて、まったく先は見えない膠着状態にある。
アメリカの地図は、ジャスパー・ジョーンズが描いた地図のようにはエレガントなものではなく、嫌なぐらい明確に赤と青に塗り分けられている。都市部が青で真ん中が真っ赤である。こんなに画一化して良いのか、というぐらい。
それはLGBTQやBLMの分断以上にアメリカがはっきりと分断されていることを示している。いや、分断することで、ある種の洗脳、そして統治がなされている。
今回のアメリカ選挙は史上最大の投票数となった。トランプの治世の賛否を問う以上に、民主主義システムの無効を露骨に問うものとなっている。
この大統領選は、21世紀に入ってのテロとメルトダウン以外の、最大のトピックスとなった。
この間、世界の紛争も、あるにはあるが、申し合わせたかのように、すべて影がうすくなっている。
しかし、アメリカの狂騒のさ中に、中国はコロナからはやばやと立ち直り、猛然と経済と国家を前にすすめている。
つまりは、アメリカの再生などは茶番であり、トランプもバイデンも、同士討ち。さしちがえて自滅するだけだと思われる。
ポストワールドはあきらかに、アメリカではなく中国になるだろう。
習近平の大笑いの声がひびいてくる。
こんな話を書いていても
まったく、カッコよくない。
さて、何をすればよいのか。
この1ヶ月間、TOKYO BROKEN MIRRORSという6冊の写真集の編集と制作の日々をすごしてきた。
コロナ禍のまっただなかに、六人のフォトアーティスト(横田大輔、小林健太、多和田有希、川島崇志、水木塁、梅沢英樹)に、鏡を宅急便で送り、それを東京の「某所」で割ってもらい、それを撮影し、新たな作品を作る。
その「指示」がTOKYO BROKEN MIRRORSというプロジェクトである。
そこには、説明可能なロジカルな因果はなく、まさにボルヘスが言うような「暗示」があるだけである。
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