
庭とアートのコミュニティへのヒントがある「すべてのものとダンスを踊って」/一日一微発見498
金沢の21世紀美術館で、開館20周年記念展でもある「すべてのものとダンスを踊って 共生のエコロジー」展を見た。
この展覧会の重要なところは、フライヤーにある脱人間中心的なフローチャートにある。そして、これは館長であり、キュレーターである長谷川裕子氏のもくろみである。2022年に長谷川さんは東京芸大の退任展として「新しいエコロジー」をオーガナイズしており、今回の展覧会は、それをさらにフルに拡張展開したものだ。
「脱人間中心的思想」は、思弁的実在論や、ティム・インゴルドからグレーバー、ハラウェイら ラディカルな文化人類学者の知見を参照しつつ、いかにアントロポセン、ポスト資本主義の時代を生きぬくか、その時代にアートは何をはたすべきか。いかに再考、再生、新生すべきかという問題意識につらぬかれている。
中沢新一的に言えば、文明の非対称性を改めて、いかに対称性にもどすかという課題への対応とも言える。
僕もこの問題についてはアートをからめて、よく考える。
昨年僕は、ちくま新書で『現代写真とは何だろう?』を出版した。その一章が「ニューネイチャーフォト」であった。
この章はエリオット・ポーター、エドワード・バーチンスキー、そしてサム・フォールズから成る章で、しかし、日本の呑気な風景写真家たちからすれば、「ガン無視」されている議論がそこでは述べられている。
日本は自然にめぐまれているが故に、逆に、植物やエコや環境について、シリアスなポリティックスを見い出せないのか。
皮肉なものだ。
ここから先は
2,617字
¥ 200

応援よろしくね~