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目は旅をする・後藤繁雄による写真集セレクション

ヴィジュアルの旅は、大きな快楽を、与えてくれるし、時には長編小説以上に、人生についてのヒントを与えてくれます。 このマガジン「目は旅をする」は、長く写真家たちと仕事をして、写真…
後藤繁雄おすすめの写真集についての記事を月に2~3本ずつ投稿します。アーカイブも閲覧できるようにな…
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2021年5月の記事一覧

ルイス・ボルツ 『COMMON OBJECTS』/目は旅をする036(風景と人間)

Lewis Balts ルイス・ボルツ 『COMMON OBJECTS』STEIDL/LE BAL 刊 ルイス・ボルツは1945年にカリフォルニアで生まれ、2014年にパリで死んでしまった。まだ69歳だった。 彼はキャリアは長かったがまだ若かったし、いつかインタビューするだろうなと漠然と感じていたから残念に思った。 僕は2014年に、パリのLE BALでの個展を偶然見た。でもそれが、彼の生前最後の個展になるとは思わなかったが、今となってはその展覧会を見ることが出来て、縁を強

澤田知子『狐の嫁いり』/目は旅をする035(写真の未来形)

澤田知子 『狐の嫁いり』青玄舎/東京都写真美術館刊 2006年に、大阪の現代アートの拠点だったキリンプラザ大阪で澤田知子の写真展『MASQUERADE』をプロデュースした。それ以来、事あるごとに彼女の写真を興味深く見続けてきた。 彼女の作品は、まず1998年に大学の卒業制作として発表された『ID400』(写真集は2000)をあげなくてはならない。僕もその写真集で彼女を知ることになったのだが、これは今を持ってしても傑作だと思う。 『ID400』は実に新鮮で、それまでの「写