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オンライン取材の経験が対面のインタビューにも役立った話
最近「オンラインのインタビューは苦手」という話を数人から聞いたので、自分が聞き手として何を気をつけているかを振り返ってみました。
相手は遠くにいるはずなのに、なぜか対面よりもキョドってしまったり、映像を見返して「自分の声小さっ」「無表情かよ私…」とがっかりしたり。
私も最初はそんな感じでしたが、数を重ねるうちに心得的なものをいくつか見つけたのでシェアします。
オンラインインタビューに対する苦手意識の正体
そもそも、通常のインタビューはなぜ対面でやるのか。それは、「1対1の即興的なやり取りの中でしか紡ぎ出されない言葉」があるからです。
その新鮮な言葉を引き出すには、聞き手のあり方が重要で、インタビュアーの「聞く技術」なしに、面白い原稿は絶対に作れないと思っています。
(もちろん、企画そのものの面白さや、話し手の言語化能力や、写真や、編集者のディレクションなどに寄るところも大きいですが、その上で)
ところが、実際にオンラインでインタビューをやってみると、対面のようにうまくいかないことに気づきます。
「話し手のニュアンスまで受け取れてる……?」
「聞き手としての態度は伝わっている……?」
そんな不安が去来して、なかなか力を発揮できません。
でも、だからといって、「オンラインインタビューはやらない」と決めてしまうのは、少しもったいないように思います。
対面と同じくらい、とまでは難しいかもしれませんが、やり方を工夫すれば手応えのあるインタビューは可能です。
私の経験上、以下の2点を意識するだけで、今までとはずいぶん違ったオンラインインタビューができるようになりました。
<オンラインインタビューで大切なこと>
① こちらの言葉をしっかり渡す
② 相手の言葉をしっかり受け取る
そして、この2点は、対面のインタビューでも大事なことだと、後になって気がつきました。
(1)こちらの言葉をしっかり渡す
「質問する」行為は、歯磨き粉をチューブから押し出すことに似ています。
話し手が普段なんとなく考えていることは、チューブの中に形を持たずに存在している。それを“言葉”という形で押し出すためには、チューブに「力」を加える必要があります。
対面インタビューであれば、聞き手が目の前に存在しているだけで、実はかなりの「力」が加わっています。でもオンラインインタビューの場合、離れている分、存在していることによる「力」が加わりにくくなります。
距離の離れた話し手のチューブに「力」を加える方法。それは、「自信を持って質問すること」です。
「これは、あなたが今、チューブから言葉を絞り出して答える必要のある、大事な質問です」というメッセージを言外に伝える必要があります。
聞き手が少しでも「こんなこと聞いていいのかな…」と思っていると、話し手の頭はなぜかうまく働きません。もちろんそこに悪気はありません。適切な力がチューブに加わっていないから、歯磨き粉が出ない。それだけの話です。
自信のない聞き手の場合、語尾が消え入るように小さくなったり、自分が発した質問に対して笑って誤魔化すような態度をとってしまったりしますが、そういうときは相手に「力」がうまく伝わっていません。
「こちらの言葉をしっかり相手に渡す」とは、自信を持って質問すること。そうすれば、相手はリズムよく画面の向こうから言葉を返してくれます。
(2)相手の言葉をしっかり受け取る
オンラインの距離の遠さに戸惑っているのは、聞き手だけではありません。話し手も同じです。
「果たして自分の言葉が相手に伝わっているのかな?……。」
と不安なままでは、相手はなかなか本音を話す気持ちになれず、表面的なインタビューで終わってしまいがちです。
インタビューの時間は、話し手と聞き手の信頼を積み重ねていく時間でもあります。
短い時間で信頼関係を築くために、聞き手はいろんな工夫をしています。私はインタビュー中、あらゆる方法で「あなたの言葉を受け取りました」と表現する努力をしています。
ところがオンラインの場合は、相手の「感じ」を読み取りにくくなるため、さりげない表現ではほとんど伝わりません。
ここで大事なのは、対面のときよりも少々オーバー気味に「受け取る」こと。普段「聞く技術」としてやっていることを、少しだけ大げさにやることです。
たったそれだけで、相手の表情が和らぎ、話す予定のなかったことまで話し始めるのがわかると思います。
まとめ|対面のインタビューでも大事なこと
こんな工夫をするとオンラインはうまくいくんだな、と気づいた頃から、対面のインタビューでもこの2つを意識して実践してみるようになりました。
要は、自信を持って質問し、受け取る表現をはっきりとするようにした、ということです。
そうすると、適切な加わっているのでお互いに無理がなく、インタビューが終わってもあまり疲れないことが多くなりました。
オンライン・対面に関わらず、インタビューのやり方で悩んでいる方がいたら、試してみてください。