【書評】ズッコケ三人組・中年三人組を語る
わたしが生まれる前から存在する、超有名児童書シリーズ。
それが那須正幹先生の書いた「ズッコケ三人組」シリーズである。
全50冊あり、私も後半のほうは残念ながら読めていない。
しかし現在、我が家に単行本が現存し、しかも現役で子どもらに読まれている。
その数余裕で10冊以上。
・ぼくらはズッコケ三人組
・うわさのズッコケ株式会社
・ズッコケ恐怖体験
・謎のズッコケ海賊島
・ズッコケ三人組の未来報告
など他にもたくさん、メジャーなものはほぼ揃っている。
当たり前だが、携帯はおろかスマホもない時代が舞台。
全く現在と文化がちがうので、我が子は読むであろうか気になっていた。
まぁ、読まなければ自分が読めばいい。
大人になって読んでも面白いしな。
そう思っていたが、結果的に子どもたちは二人とも熱心に読んでいた。
シリーズ中盤以降、巻頭に載っている前川かずおさんの書いた座席表で見るクラスの様子、三人組のプロフィールのイラストも興味深かったようだ。
何せ、三人組の通知票までご丁寧に載っている。
通知票にふつーに1があるハチベエとモーちゃん
知識と成績が結び付かないハカセ
子ども的には突っ込みどころ満載・興味津々であろう。
そして、読むか読まないかちょっと悩んで、結局読んだズッコケ中年三人組シリーズ。
かなりリアルであるという前評判を聞いていたが、結果、これもまた全部面白かった。
あの三人組やクラスメイトが自分と同じ40代になっているのだ。
育児や夫婦関係や仕事、果ては親の介護までリアルに悩む。
面白くないわけがなかった。
ズッコケシリーズに共通しているのがラストの締め方。
児童書にありがちなハッピーエンドではなく、大体がビターエンド。
大団円があまりない。
だが、これがまたいい。
ハッピーエンドを好むわたしも、ズッコケのラストは大好きだ。
那須先生がお亡くなりになったので、もう新作が読めないのが残念である。
最後にひとつ。
那須先生が書いた「六年目のクラス会」という短編集を是非お勧めする。
はっきり言って読後感はよくない(しかも、かなり)が、那須先生のすごさを実感できる。
あまり有名ではないのだが、図書館で見かけたら是非借りてほしい。