銀との散歩 すっかり日が落ちて 遠くに見えるコンビニの灯りが 駅の灯りに見えた ちょっと胸がキュッとなった 帰りが遅い私を母はどんな気持ちで待っていたのか 深夜に帰り言い訳をする私 〝公衆電話が長蛇の列で…〟 LINEの通知音が鳴る 〝○時ごろ帰るよ〜〟と娘から 良い時代…なのかな さぁ、帰って夕ご飯 ☆☆☆☆☆☆ 今年1月から投稿を始めたので もうすぐ1年になります 自分の才能の無さを実感しながら ぼちぼちと続けています 何名かのお気に入りnoterさんもできて そ
朝起きて ご飯作って 銀と散歩して 行ってらっしゃいして 買い物行って お昼つまんで のんびりして 夕飯作って おかえりなさいして 一緒にご飯食べて 夕べのひとときを過ごして お風呂に入って 眠って 朝起きて ご飯作って 銀と散歩して…… その隙間に入ってくるあの人 会いたくて 逢いたくて どこに行けば会えるんだろう
〝卒業したら東京の専門学校行くから〟 暑すぎる夏から秋へと 日に日に風が心地よくなってきたそんな今 彼に打ち明けた 泣き顔にならないように遠くをみつめながら うまくさらっと言えたと思う 大阪の大学を受験すると決めた彼への当てつけ ただそれだけで決めた進路 〝じゃあ俺も〟 なんてオチはないよね たぶん
高層ビルのせいで狭くなった空 見上げるとネオンの灯の向こうの暗闇から ゆぅるりと雪が舞い降りてくる …雪? この真夏に 雪を顔で受けながら泣きそうになる私に 〝なんで笑ってんの?明日から会えなくなるのに〟 〝それを選んだのはそっちでしょ〟 春も夏も秋も一緒にいたのに たくさんの夢を見せてくれたのに
懐かしい曲を聴いてキュンとなる そのバンドの曲が本当は好きだったけど あんまり…って言ってた だってそのバンドに惚れ込んでいるあの人には いつも彼女がいて 私にもいつも彼氏がいて 今は奥さんがいて 私には主人がいて 不倫とかそんな話じゃない 誰を一番愛してるかなんて そんな話じゃない ただキュンとなる
雨が降り始めた アスファルトから立ちのぼるにおい 葉っぱのにおい 土のにおい 川から漂ってくる水のにおい 雨のにおい みんな好き はしゃいで小走りになる銀 先を行く銀を追いかけるように私も走り出す 傘はささない 傘は嫌い 雨のにおいに混じって薫る花のにおい 見当たらない どの花だろう… 想い出の中の花の香か
「好きな人ができた」 俯き加減で言う彼女の顔を 穴のあくほど見つめる俺 言い訳が始まる 「だって、あのね…」 延々とその男に対する想いを語る ざわつく でも腹を立ててはいけない 「…で?」 「うん…どうしよう…」 「あのな何度目だよ、この茶番」 「…」 「その男って俺の事だろ」 舌を出す彼女の可愛いこと!
「ありがとう」が口癖の人がいた 久しぶりに見かけて声をかけたら 声をかけてくれて「ありがとう」 当然の気づかいを言葉にしても 「ありがとう」 偶然会えたのはご縁が切れてないのかなと言えば そう思ってくれて「ありがとう」 それ、いらない たくさんの〝ありがとう〟より 目覚めた時の〝おはよう〟を返して
部屋を片付けようと思った 収納がやたらと多いワンルーム 収納が多いのがありがたいと思い決めたのが間違い 何の気なしに放り込んで 物が溜まっていく一方 珈琲を入れ 部屋のまん中に座り 手順を考えてみる ベッドサイドの物をあっちへ あっちの物をこの棚へ この棚を空けるにはこれを出して 出した物を… …無理だ
紅茶がすき いつもストレートで飲みすぎて 胃が痛くなるから ミルクと砂糖がしっかり入ったミルクティーを 時々飲む さっき 小さなボトルに温かいミルクティーを入れた ボトルの口が狭いので香りが ぷわーんと一気に鼻を通り抜けた ん? 嗅ぎ覚えのある匂い あ、 愛犬・銀のにおいだ …………いいんだか悪いんだか…
困ったような表情が好き 目があっち行ってこっち行って 笑ったらキラキラ光って こんな出だしの詩を高校生の時に書いた その先が思い出せないけど ここまでは鮮明に覚えてる いつもカバンに入れていた小さなクロッキー帳に コロコロした丸文字で書いてた そのキラキラの思い出の結末は忘れた ただただ愛しかった
あかいとり ことり なぜなぜあかい あかいみをたべた この歌を母と手を繋ぎ歌いながら歩いた 今、目の前を歩く母子が歌いながら歩く姿が 遠い記憶と重なる ふいに歌声が途絶えて こどもが母の手を振り払い走り出す 「パパ!」 大きな胸に飛び込むこども 受け止める父 見守る母 ただそれだけの事 たったそれだけの事
いつも授業開始時間より早めに出てカフェに寄る 「いいな、そういうの」と後輩男子が言う 「寄り道する人、かっこいい」 ある日いつも通り寄り道の店に入る 窓際の席に後輩男子がいた 顔を上げ目を丸くして 「寄り道の店、ここだったんですか?」と 「そう。だけど違う」 「寄り道じゃなくなるかも。また来て」
深夜の居酒屋で文庫本読みながら突っ伏して寝てる こんな奴初めて見た 店長が自分ちのカギを渡してた 店長の女? 嫁さんは産後で実家に帰ってるはず ありがちなシチュエーション いきなり起きて顔を上げた女と目が合ってしまった 手招きされて恐る恐る行った俺に「可愛いね」 しどろもどろになる俺 ありがちか…
140文字の小説って難しい。 今夜も銀との散歩の時に浮かんだネタを、 布団に入ってから書いてみる。 いつの間にか寝落ち… 夢の中でスラスラと書き始める。 気持ちがポッと温かくなるお話。 でもいつの間にか寝落ち… その眠りの中でも書き始める。 スラスラ スラスラ… ハッと目覚めた目の前には白紙の画面
「よく探したのか?」 車の下を覗きながら彼が言う 彼からもらった指輪を失くしてしまった 高価な物ではなかったけど気に入っていた ご縁のない人からの贈物は失くしたりする …なんて聞いた事があるけど そんな事は信じたくなかった でもそれから数ヶ月後 彼がサングラスを失くした 私が選んで贈った物 いやだ…