すべての人間関係を手放し、リセットすることも時に大切
むかし、長く付き合っていた人たちと完全にサヨナラしたことがある。
北海道のとある農村の会社で、単身移住者として3年ちかく働いていた。食品工場の工場長だった。
けど正直「ここにいる人たちとはもう関わらなくていいかな・・」と思って転職することにした。
いざ札幌での転職が決まって、現職を辞める旨を伝えたとき。「会社から引き止められることがある」というネット情報を事前に得ていたので、自分の場合どうなるかと心配だった。
でもいざ職場関係者の人たちと差し向かいで退職の意思を伝えると、意外にもスンナリ了解してもらえた。
その職場では、考え方や意見の違いなどで、以前からまわりとの隔たりを感じていた。仕事で関わる人は、ほぼ全員がその地域の地元民。僕のような外からの移住者は、生まれも経歴も価値観も違うし、どちらかというと異質なタイプだったのかもしれない。
職場にいる地元民の人と仕事のことで議論すると、その後ほぼ決まってほかの地元民の人たちに噂話がいき、少数派の移住者であるこちらが不利な立場になっていた。
そんなことが重なるうち、正直、若干の村八分になっていた。
職場の人たちとは正直、一緒に長くやっていける気がしない。こちらは外から単身移住してきた「よそ者」だし、なにかあるたび噂話が広がり、下手をすると地域内で疎外感や不安を感じることになる。
いまさらお互いの関係を修復して地域に溶け込むのもまずムリだろう。職場の人たちとしても、僕のように考えや行動が異質なタイプは、たぶん煙たい存在だったと思う。
移住者として、その農村でかれこれ3年ちかく住んだ。総括はこうだ。
心優しい人・情に脆い人はとくにそうだと思うけど、それまで長く付き合ってきた人たちとの縁がなくなることに、抵抗を感じることはよくあると思う。
2年・3年と一緒に働き、楽しい時間を共にした人たちとの関係が終わるのは、喪失感がある。長年培ってきたものが、すべてガラガラと音をたてて崩れ去るような感じ。すごくもったいない気もする。
ただ、もしその関係を続けることで自分にとってストレスになるなら。相手との出来事が悩みのタネになり、思い出しては悶々とすることが増えているなら。
それは自分の心に大きな負担をかけ、人生の充実度を損なう原因になるかもしれない。
ましてや繊細な性格で、身のまわりの物事に大きく心を左右されやすい人にとって、悩みのタネになる人間関係はときに深刻な悪影響になり得ると思う。
だからこそ時には、いまの人間関係をすべて手放すことも大切じゃないだろうか。
もちろん手放すことには抵抗があるかもしれない。けれどもっと理想の方向に人生を進めていくなら、いまのつながりにすべて別れを告げることも必要かもしれない。
本当はどんな環境で、どんな人たちと関わっていきたいのか。漠然とでもその方向性が見えているなら、思いきって今の環境を変えて「付き合う人の総入れ替え」をするのもいいかもしれない。
当時いた地域を去り、そこで関わっていた人たちともお別れした。
結果どうなったか。
ものすごく爽やかな気分になった。
住んでいた公営住宅を引き払い、その地域を出て行ったとき、「これでよかった」と心から思えた。その住宅のとなりの平屋に住んでいた地元のおばちゃんとはすごく仲がよかったので、別れ際はすこし寂しくもあった。
もちろん当時いた環境や、そこで関わった人たちには感謝している。いろんな経験をして成長できたし、すべてがいい思い出だ。
それはすべて良しとして、つぎの人生のステージに進むことにした。
不要な人付き合いをなくし、本当に好きな人たちと関わって生きていくうえで、この価値観はきっと役立つと思う。
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