あなたの成長と遺伝子の活性化
前向きな気持ちや意欲。
ほかの人からほめられたり、評価されたり、認められたりすること。
それらは脳の活性化につながります。
そのことを理解したあなた。加えて、前向きな気持ちや意欲はまた、遺伝子の活性化にも良い影響を及ぼすことを覚えておきませんか。
日常的にはほとんど話題にならないかもしれません。でも、遺伝子のチカラって、とてもパワフルなのです。
オンとオフという指令情報
ヒトの遺伝情報は、実に約30億の塩基という化学の文字で書き込まれています。
ところが、遺伝子学者の村上和雄さんが述べているように、それらのすべてが働いているのではありません。「働け(=オン)」とか「眠れ(=オフ)」といった指令情報が入っているそうです。
常時使っているのは、すべての遺伝情報のうち、せいぜい3%程度。あとの大部分は、潜在的な能力をもっているにもかかわらず、眠ったままの状態になっています。
このオンとオフは、物理的・化学的・精神的な要因にも左右されます。
「ポジティブな因子」は、「よい遺伝子」のスイッチをオンにします。あることに熱中し、続けていけば、そのことを実現させるための遺伝子は必ずオンになるそうです。
逆に、「ネガティブな因子」は、よい遺伝子のスイッチをオフにします。
ポジティブな因子とは、喜び、楽しみ、愛情、信念、祈り、感謝など。他方、ネガティブな因子とは、苦しい、つらい、ねたみ、怒りなどです。
ただ、オンとオフといっても、まったくの二者択一ではありません。20%だけ、あるいは70%オンといったように、いろいろな段階があると言われています。
人は皆、同じ遺伝子暗号を持っています。遺伝子に書かれていないことは、どんな人にもできません。逆に、書かれていることは、どんな人にも可能になります。
その潜在的な能力は、だれもが同じように持っているものなのです。
天才と普通の人とで差がでてくるのは、村上さんによれば、都合のいい遺伝子をオンにでき、都合の悪い遺伝子をオフにできるかどうかの違いに基づいています。
また、病気というのは、DNAの働きがバランスを失い、病気の因子をもった遺伝子の働きがオンになることを意味しています。
言葉を換えれば、「心が満たされた」状態であれば、もしくは心のもち方ひとつで、いい遺伝子がオンになります。そうすると、精神面で強くなれるだけではなく、病気に対する抵抗力を強め、身体面でも強くなれるのです。例えば、「ガンも糖尿病も心の持ち方が左右する」「深刻になっている人より、明るく陽気な人の方が、経過がいい」というわけです。
ポジティブなこと、ネガティブなこと
自分を成長させる遺伝子をオンにするのに、やればいいこととして、村上さんは、次の6つの点を指摘しています。
① 思いきって今の環境を変えてみる
② 人との出会い、機会との遭遇を大切にする
③ どんなときも明るく前向きに考える
④ 感動する
⑤ 感謝する
⑥ 世のため人のためを考えて生きる
逆に、潜在的な能力の開花を阻害する要因として、アメリカの心理学者アブラハム・マスローの見解を紹介しています。
① いたずらに安定を求める気持ち
② つらいことを避けようとする態度
③ 現状維持の気持ち
④ 勇気の欠如
⑤ 本能的要求の抑制
⑥ 成長への意欲の欠如
遺伝子のチカラを理解することで、ポジティブな気持ちになれて、前向きに生きていける。
そのことを心で受け止めるだけでも、あなたの人生に変化が訪れるかもしれませんね。
【主な参考文献】
・村上和雄『生命のバカ力』
・村上和雄・阿部博幸『生きている。それだけで素晴らしい』