書くチカラ-能力グレードアップ講座4
書くことが苦手なあなた。これを読むと、「書き上手」に変身しているかもしれません。ステップを踏んで、鍛えあげられていく過程がよくわかるからです。
さまざまな種類の文章があふれている
いまの時代、さまざまな種類の文章が満ち溢れています。身近なところでは、メール、ブログ、SNS、日記、手紙などがあります。学校では、作文、感想文、小論文、レポートなどが取り上げられます。就職活動では、エントリーシートや履歴書が求められます。社会人になると、報告書、企画書、プレゼン資料などが必要になります。
このように、多種多様な文章を書く機会は、ますます増えています。それぞれの文章の書き方には、独自なルールや手法があり、踏まえるべきポイントも、文章の種類に応じて異なっています。
しかし、どの文章にあっても、共通して言える課題があります。それは、読み手の理解や共感を得ることにほかなりません。そのために、もっとも大切な要素として、「読み手にとってのわかりやすさ」が求められることになります。その「キホン」さえ、身につけておけば、文章の種類に応じて対応していくことは、それほどむずかしいことではありません。
「聞くチカラ」や「話すチカラ」とは異なり、「書くチカラ」については、小学生以来、しばしばトレーニングの機会があったのではないでしょうか。
入学直後の大学生たちに自己紹介させると、恥ずかしさが先立ち、モジモジしてうまく話しだせない人が多い。それに対して、なにかを書かせると、それなりのことを書ける人が多いように思います。
思ったことを素直に表現できる。それ自体、とても素晴らしいことです。
しかし、もう少し読む人の立場を考慮して書くと、もっとよいものになるのに、さらには書いている当の本人にとっても、もっと明確な内容になるのにと、つい思ってしまうのです。
そこで浮上するのが、「書くチカラ」のトレーニングです。つまり、学生たちの「書けるチカラ」を、社会的にも活用できる「書くチカラ」に変えていくというトレーニングです。
端的に言うと、ある課題・テーマに関して、自分の考え・意見を組み立て、「読む人にもわかりやすいと感じられる工夫」をして表現するというレベルへのグレードアップです。
順序立てて説明していきましょう。
「書くチカラ」を鍛えるというと、多くの人は、まずは文章を作成するときの基本的なルールをマスターすることを思い浮かべるのではないでしょうか。ルールは必要ですので、わたしも、この点を明らかにしたうえで、レポートや感想文などを提出してもらっていました。
具体的には、次のようなものです。いずれも、多くの本に必ずと言ってよいほど紹介されているルールばかりです。
① 一つひとつの文章は簡潔に。わかりやすい文章になるからだ。
② 句読点を正確につける
③ 「です・ます調」の文章と「だ・である調」の文章を混在させない。
どちらかに統一する
④ 内容にあった具体的なタイトルをつける
⑤ 書きたいと思っている事項が複数ある場合、①、②、③というよう
に、番号をつけてポイント整理を行う
⑥ 考え・感想を述べるとき、必ずその「理由」も書くようにする
読む人にわかりやすい文章作成を求めて
それらの要件をおさえるのは、確かに大切です。ただ、そこで留まっているだけだと、読み手に考えていることを十分に伝えるレベルにはなりません。
そこで浮上するのが、ステップを踏んで「書くチカラ」を意識的に高めていくやり方です。授業の中で、わたしが行ったのは、三つの異なったビデオを二週間ごとに鑑賞し、毎回、感想文を提出してもらうというものでした。
以下に紹介するのは、実際に幾度か提出されたものをベースにして少しアレンジしたものになっています。同一人物のものではありませんが、提出された感想文をパターン化すれば、次のような三つのレベルにわけることができます。
各ステップの具体例を通して、書くチカラがどのようにステップアップしていくのか、そのプロセスが「見える形」で再現されています。
ここから先は
¥ 300
よろしければ、応援お願いいたします。いただいたチップは、クリエーターとしての活動の一層の充実のために活用させていただきます。