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「あの人の代わりに私を愛して」エレクトラの敗者が陥る無価値感の根っこ


「エレクトラ・コンプレックス」ということばがある。


私たちの女性性は、生まれて初めての恋を父親にするんだけど、


この恋には初体験でいきなり、ものすごく強力な敵が存在してしまうのだ。


その敵とは父親のパートナー、母親。


何の試練なんだろうねえ。


母親と父親をめぐってあらそうわけだから、


大きなエネルギーが変動するよね。


こころがぐいーっとあっちこっちに勝手に動かされる変動っぷりだ。


ここまでこころが動くと、勝っても負けても心に大きな傷がのこる。


それはどんな傷かというと、


エレクトラの勝者は罪悪感。母からパートナーを奪った罪を背負う。


エレクトラの敗者は無価値。選ばれなかった価値のない自分という傷を抱える。


先日、友人カウンセラー三原よしのの心理学講座を受けて、エレクトラの敗者である自分に気づいた。


今日はそのことについてつらつらと書くね。


芯のあるやわらかさとあったかさにふれてほっとして、自分を取り戻したいあなたはよしのにぜひ会いに行ってねー!



エレクトラの敗者


私が10歳のとき、母が亡くなった。

お葬式では大勢のひとが泣いていた。


重くるしい空気がどろりと充満している部屋の中で、


私は父と弟が静かに涙を流し続けているのを見つめていた。


かわいそうに、と思った。


こんなに泣いて、つらそうに、打ちひしがれていて、なんてかわいそうなんだ。


しおしおと泣くとはこういうことか、の見本のようだった。


このままでは父と弟まで消えてしまいそうに思えた。



おかあさんがいなくてもあたしががんばるよ。



そう感じて、決めて、私は母になろうとした。


父と弟がもう泣かないように。


そのとき私は、一生勝てない敵を相手に愛される勝負を挑む道を選んだことになる。



私は母になりかわろうとした。


明るくておもしろくてはたらきものでおいしいごはんつくってくれて家をぴかぴかにしてくれて


やわらかで清潔な服とおふとんで眠らせてくれる母になろうとした。


でも、父も弟もずっと泣いていた。


しぼんでいるかと思えば妙にはしゃいでいたりして、

ずっと不安定のままでいるように見えて、


私を見てもずっと泣いている彼らの姿に、私は傷ついた。



父は私より母が好き。


弟も私より母が好き。


私には何の価値もないんだろうか?と不安にさいなまれた。


だから必死で機嫌を取った。


もっとごはんをつくったり、家事をしたり、掃除をしたり、


テストの勉強をがんばってみたり、なにかで発表したり、賞をもらったり、


お父さん、私がんばってるよ!ってアピールをしだした。


やっていてもたのしくないこと、つまんないこと、しんどいことほどやった。


価値のない私はがんばらなければいけないと思い込んでいた。


私は必死だった。


母に成り代わらないと父に愛されないと必死だった。


そうしたら父は元気になるんだと思ったから。



でも父は死ぬまでずっと母の代わりをつくらなかった。


私はおかんにはなれなかった。


無価値だから犠牲する恋をする


成長して家を出て、いろんな恋人ができたけれど、私は彼らを父の代わりにしようとした。


もちろん無意識のうちにやってることで、そんなつもりはさらさらなかった。


恋人たちとの関係は、とにかくひたすら尽くした。


おごられるなんてとんでもない。割り勘か私が出した。


電話もしない。愚痴も言わない。やきもちも妬かない。


言われたことは即やる。


恋人が居心地いいようにする。


嫌なこと言われてもスルー。がまん。


したくないセックスもする。演技だってばりばりやる。


演技やよろこんでもらうワザの研究のためにエロビデオめっちゃ見る。


恋人たちは私が何も言わないからつまらなかったんだろうね。


浮気や風俗モラハラパワハラ、どんどん嫌な男になっていってしまった。


当時は彼らを責めたけれど、これは完全に私が悪い。


だって私は、彼らを見ていなかったから。


「父に愛される私」を感じさせてくれる男なら誰でもよかったから。


利用されたことに傷ついて怒っていた彼らに、未熟だったことをあやまりたい。


こころの世界を学ぶようになって、「父に愛される私」でなくても生きていていいと思えるようになってきた。


自分の人生をたのしんでいいと知った。


そして出会った歳上の、チベットスナギツネみたいな顔をした男とつきあいはじめた。


たまに彼を父親がわりにしたり、彼の母親がわりになったりしながら、


もうすぐ7年目をむかえる。



父は去年、余命宣告を受けて1ヶ月であっという間に亡くなってしまった。


最後に見たのは、病院でストレッチャーに乗せられて運ばれていくときに


「いってらー」と声をかけた私に手を振った姿だった。



それから私は母に、無謀な勝負を挑まなくて済むようになった。


母は母で、私は私。


父にとって母は母で、私は娘。


あのひとはあのひと、わたしはわたし。


そういう感覚をじわじわと認識することができるようになった。


父が死んでさびしい、つらい、何もしてあげられなかったと、またこころに穴が空いてしまったけれど、


でも、もう私は誰かのかわりにならなくて済んだのだ。


私は私として、私そのままで、父を失ったかなしさに溺れて泣くことができた。


人前で父の写真を見たり、ふと父を思い出して涙があふれても、


「あーおとうちゃんのこと思い出したら涙でてきたー」


ってそのままでいられた。


心配させるから隠れて泣かなければいけない、と我慢することをしなくなった。


「あの人の代わりに私を愛して」という、永遠に報われない私の初恋がやっと、やっと、終わった。


そんなおはなし。



「エレクトラの敗者」に起こるデメリット

⋆いまいち仕事の波に乗れない
⋆うまくいくと何か起こってスタートに戻る
⋆セクシャリティを抑圧している
⋆セクシャリティを抑圧しているがゆえにセクハラや性被害にあう
⋆パートナーを父親がわりにしてレスになる
⋆やりたいことを見つけて、心躍らせて挑むけれど同時に「あんたには一生無理よ」とブレーキをかける
⋆自分が着たい服、やりたいこと、しゃべりたいこと、聴きたい曲、よりもその場の空気に相応しいと思われるものを優先する
⋆いつも自分を隠しているので、好かれたりほめられたりしても「ほんとの私を知らないくせに」と感じる
⋆「どうしたら愛されるか」を常に考える
⋆愛するより愛されることを望む
⋆自分の感性を凍結するので、マニュアルが無いと不安でたまらない


「エレクトラの敗者」を救うワーク


「愛しいあなたにこのお手紙を読んでほしい。

できれば声に出して、あなたの喉をふるわせて、あなたの耳に送り込んでほしい。

凍結した五感をやわらかに溶かすように、あなたのこころに春をもたらすように。

私はずっと、ちがう誰かにならなければ誰にも愛されないと思ってたよね。

愛されたかったねー。

おとうさんに笑ってほしかったね。

もう泣かないでほしかったね。

おとうさんが大好きだったねー!

私の自覚できる愛し方ではなかったけれど、私はおとうさんにたっぷり愛されてたよ。

脳みそは否定するけど、五感が覚えてるよ。

頭を撫でてくれたり、眠ったら抱っこしてお布団に連れてってくれた手を覚えてるよ。

私の名前を呼んでくれた声を覚えてるよ。

一緒に食べたごはんの味を覚えてるよ。

においはなんだろう、わかんないけど無意識が覚えてるよ。

わたしはわたし。
誰かにならなくたって、とっくに愛されてる。

覚えててね。忘れないでね。

あなたはあなたのままで、とっくに愛されてるよ。



よしの、すごい講座ひらいてくれてありがとう。多謝!

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イチカ | 【女性専用】タントラ哲学×心理学カウンセラー
ずっと罪悪感を抱えて、自己肯定感ひっくい人生を送ってきたんですけれど、いまは応援していただくことの修行をしています。よかったらサポートお願いします。いただいたサポートで土偶や土器の博物館に行きます。