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「思考の整理学」外山滋比古
こんにちは。
今日は言わずと知れた名著、
「思考の整理学」についてです。
何度も読み返しましたが、
その度に新しい発見がある本書。
考えることについて、
深くかつ平易に語られています。
表紙のイラストが
(絵本)画家の安野雅光さんであることに
今回、初めて気付き驚きました。
「なんでこの絵にしたんだろう?」と
いろいろ想像するのも面白いです。
今回は3見出しあります。
1:グライダーとコンピューター
「思考の整理学」は6パート構成で、
各パートがいくつかの章から成っています。
最初のパートで語られる最も印象的なワードは、
「グライダー人間」と「飛行機人間」です。
「グライダー人間」とは、
教えられたことを忠実に実行できる人間のこと。
学業成績は優秀ですが、
自分で考える(自分で飛ぶ)ことは苦手です。
学校は彼らを大量生産し、
社会に送り出す役割を担っています。
コンピューターがなかった時代、
計算を正確に行ったり
たくさんの知識を記憶できる人間は
重宝されてきました。
「飛行機人間」とは、
自分の頭で考える人間のこと。
自由に創造することが得意な反面、
授業中に突飛な質問をするなど
和を乱すことがあります。
多くの学校で彼らは煙たがられ、
上の命令を正確に実行することを求める会社にも
なじみません。
外山さんは日本で「グライダー人間」ばかりが増えていることに警鐘を鳴らし、
自分で考える(=飛ぶ)ことの大切さを
本のなかで繰り返し訴えています。
2:「飛行機人間」の重要性
なぜ、「グライダー人間」ではいけないのか?
それはコンピューターの方が
「グライダー人間」よりも能力で勝っているから。
コンピューターは計算も記録も
人間より速く正確で、
正常に機能している限り
人間の指示を素早く確実に実行します。
一方、人間に指示されたこと以外はできないため
自分で考えるということはできません。
そのため外山さんは、
これからの時代は自分で考えることのできる
「飛行機人間」がより重要になってくる
と主張するのです。
3:コンピューターからAIへ
本書の文章自体は1983年より前に書かれているはずなので、
30年以上前、
昭和の終わり頃から外山さんは
この問題を指摘していました。
でも、今はコンピューターよりもっとすごいものが
現れました。
それはAI(人工知能)です。
AIは人間に指示されたこと以外にも、
自ら学習して知識を深め行動することができる
人間とコンピューターの良いとこどりのような存在。
もちろんAIにもいろいろな種類があり、
まだ研究中で活用には至っていない部分も
たくさんあります。
それでも巷では、
「AIに仕事を奪われる」といった
不安をあおるようなコピーを見かけることもしばしば。
産業革命から始まり、
コンピューター革命、AI 革命と
社会における人間の役割は
機械に代替されることが増えているのは確かです。
しかし、それをマイナスではなくプラスに捉え、
今まで人間がしていたことを機械がしてくれる分、
私たちは新しいことに挑戦できるようになると
考えることもできるのです。
これからの時代、
能動的に考えるということがもっと大切になって
くると思います。
「思われる(=It seems to me)」という
考えが私のもとにやってきたような受動的な思考を、
分析・展開してその核にたどり着き(思考を整理し)、
「AはBである」というような断定まで
思考を持っていくこと。
そうした思考を整理する過程は、
個人の経験や発見、タイミングによって違うため
似てはいても全く同じ考えになることはなく、
まったく別の考えにたどり着くこともあります。
この思考の過程こそ、
AIにはできないオリジナルな考えを生み出すために
重要なのではないでしょうか。
本書では
思考を整理する過程における具体的な方法について
詳しく書かれています。
私たちはその方法を知り、
自分に合うようアレンジしていくことで
これからの時代を生きていくための思考方法を
学ぶことができるのです。
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