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「ちょっと、やめてよ!そんなの写真に撮るの」 母の三奈子は包丁を洗う手を休めないまま、大きく首を後ろに曲げた。 テーブルにはすでに、スープを注がれたお椀が人数分並べられている。 私はおにぎりと卵焼き、ウインナーの載った大皿をテーブルの中央に置くと携帯を手にスープに近付いた。 土曜日の昼。 食事を自宅でとるときはいつも、母があり合わせのもので簡単に食べるものを作ってくれる。 「いいじゃん。加工するから大丈夫」 私は携帯のカメラを起動したままアングルを変え、もう