タモリ「髪切った?」は神スキル【臨床心理士が雑談スキルを公開】
<はじめに>雑談序盤に役立つタモリのトークスキル
皆さんこんにちは。臨床心理士のいちかです。日々仕事をしていると、ひょんなところで取引先の知人と一緒になったり、少し知っているくらいの人と雑談をする機会があります。
雑談は、人間関係を円滑にするために重要なスキルですが、なかなかうまくできないという方も多いのではないでしょうか。
実はTVのバラエティ番組などを観ていると、大御所芸能人の中に、この雑談に長けたスキルをふんだんに見つけることができます。例えばタモリさんは「笑っていいとも」という生放送番組で毎日違うゲストと15分間ぶっつけ本番で雑談をこなしていました。
この雑談スキルを身につければ、ちょっとした知人との雑談に困った時でも簡単に使え、楽しい時間を過ごすことができます。
そこで今回は芸能界屈指の生放送トークに長けているタモリの雑談のようなトークから、臨床心理士が抽出した「誰でも簡単に使える雑談スキル」の3STEPをご紹介したいと思います。
雑談の序盤に盛り上がるコツ3STEP
雑談とはいえ、何を話そうか考え込んでしまうと雰囲気が固くなるし、「このお店よく来られるんですか?」みたいな見通しもなく適当な質問から始めると話が弾まずにすぐに会話が終わってしまい気まずくなることがあります。
一方、雑談が盛り上がると感じるのに重要な要素は、1つの話題で長くラリーが続くことです。このような雑談をさらりとやってのけるところがタモリのすごさだと思います。そしてそのために必要な質問は以下の3STEPで表現できます。
これだけでは意味がわからないと思います。これから以下に詳しく説明していきます。
STEP1 髪切った?
気楽な雑談に入る前に、お互いが親近感を持った状態で会話が始まるほうが当然話しやすくなります。知人程度だとお互い好意を持っているかも不明であるので、せめてこちらから好意を示す必要があります。
では、好意を示すにはどのようにしたら良いでしょう。もちろん「いやー〇〇さんいつも素敵ですねー」と褒めることも1つの方法ですが、その人のキャラだったり、異性だったりすると相手に警戒心を与えてしまうこともあります。
ここでおススメなのは、時間軸の中で「過去から現在にかけてあなたと私は知り合いですよね?」という確認作業をすることです。当然相手との関係が今だけの関係ではなく、過去から現在までの関係性があることを意識すると親近感がわきます。
極端な話、初対面よりも数年前からの友だちのほうが親近感が湧きますよね。会社などの知人が相手という設定であっても、過去からあなたのことを気にかけているよとアピールする会話の入り口があります。それがタモリさんの「髪切った?」に代表されるセリフです。
この何気ないセリフのすごいところは、
①相手の過去(髪を切る前)から現在(髪を切った)の間、あなたのことを気にかけていましたよというアピールになる、
②揺るがない事実を指摘しているので否定されないという雑談の入り口に最適な要素が2つも盛り込まれているところです。
もちろん「髪切った?」でなくても「今日はいつもと服装の雰囲気が違うね」「前にあったときより体がしまって見えますね」などその状況にあったセリフで構いません。
このようなセリフで過去から現在までのつながりを確認できてから雑談に入るとよりスムーズに会話が進みます。
カウンセリング場面でも、特に1か月以上前に会った方と話す時には
「前回は〇〇をするのが楽しみと言ってましたね?最近はやりましたか?」などと前回の話題を少し出すと、過去からの時間のつながりの感覚が呼び戻され親近感が大きくなるのを感じることが多々あります。
STEP2 もし休みが取れたら?
また、タモリはトークの序盤によく「休みの日は何してるの?」と休日について聞きます。なぜなら仕事ばかりの大人は休みが待ち遠しく、ポジティブな内容が出て、話が盛り上がりやすいからです。
そして、さすが多くの売れっ子芸能人を多数相手にしてきたタモリさん。忙しくて実際には休みが取れていない人の場合にも使えるのが「もし休みが取れたら何したい?」という質問です。これならどんなに忙しい人にも聞けますね。
休日や楽しみにしている話題からスタートすると相手も乗りやすいので雑談の序盤におススメです。
STEP3 いつから?
さらに雑談の中で、休日の過ごし方など聞いて、趣味や楽しみの話が出てきたときにタモリさんが良く使うのは「いつから?」という質問です。雑談の序盤に使う「いつから?」もプロのカウンセラーから見ても秀逸です。
なぜなら会話のニュアンスと相手の出方が定まらない序盤において注意すべき、①浅いやり取りで終わることと②踏み込んだら気まずいテーマになってしまうという危険性を回避できるからです。
例えば、①については「最近サーフィンにハマってるんですよ。」と相手が切り出したとき、『いつから?』と聞くことで、話が広がりそうか見極めることができます。
「ここ1か月です。」という答えなら、それ以上質問しても話は広がらないので別の話題を探します。
反対に「もう10年になりますかね。」となったら『サーフィンの魅力は?』『どの場所がおススメ?』など質問を深めれば、かなり詳しい話が出てきて話は盛り上がっていくでしょう。
また、②については、久しぶりにあった友人とバッタリ街中で会った時「おー!久しぶり!最近やっと就職決まったんだよ!」などと言われたとします。
そこで『なんの仕事してるの?』と聞いたら「いやー実は…」と気まずそうに「あんま大きい声じゃ言えないんだけど闇金なんだよね」と返されて気まずい雰囲気になってしまう危険性があります。
しかし『いつから?』と聞けば、相手も「おー今年の4月からでさ。まあ、たいした仕事じゃあねえけどぼちぼちやってるわ。」と安全なラインで会話を展開できます。このように雑談序盤の「いつから?」は安全で万能な質問になります。
<まとめ>
以上、今回は一流芸能人タモリさんから得た「誰でも簡単に使える雑談スキル」の3STEPをご紹介しました。
まとめると以下の通りです。
この雑談スキルを身につければ、ちょっとした知人との雑談に困った時でも簡単に使え、楽しい時間を過ごすことができます。
最後までお読みいただきありがとうございました!
<参考文献>
難波義行 2015年 タモリさんに学ぶ話がとぎれない雑談の技術 ゴマブックス
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