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【必見】本物のカウンセラーの見極め方!【臨床心理士が解説!!】

<はじめに>「カウンセリングの目的」って何?

皆様の中で、カウンセリングに興味を持っている方がいるかもしれません。
と同時に、「カウンセリングって何するの?」と疑問を持ったり、
「カウンセリングって洗脳みたいで怪しくない?」と警戒心を持ったりもしませんか?
 
何を隠そう、懐疑的な性格だった学生時代の私も、ずっとそのような疑問を持っていました。
 
またカウンセラーとして働きだしてから数年の間も
「カウンセリングの目的」についてハッキリと言葉で伝えることができずにいました。
 
しかし、カウンセリングの経験を積む中で、精神科医の神田橋條治先生の本と出会い、
自分の中で霧が晴れたように「カウンセリングとは何を目指すものか」自分の中で整理できました。
 
これを知れば興味はあるけどあいまいな「カウンセリングの目的」がくっきりと見え、あなたが出会うカウンセラーが「本物なのか」見極められるようになります。
 
今回は、臨床心理士における「カウンセリングの目的」をご紹介しようと思います。

カウンセリングの目的にこだわるのはプロの自覚でもある。


昨今、カウンセリングという言葉が日本でも広まり、それに伴ってカウンセリングを受けたいという人が増えているのはとても喜ばしく感じております。
 
一方で、自称カウンセラーや玉石混交した民間資格を持ったカウンセラーが、カウンセリングの目的を誤り、せっかく相談に来たクライエントを傷つけたり、ダメにしてしまっている話を聞くたびにとても心が痛くなります。
 
私は、先ほど述べたように、恥ずかしながら学生時代から働いてからも長く「カウンセリングの目的」についてはっきり言葉にできずに悩んでいました。
しかし、少なくとも一部の倫理観も持たない自称カウンセラーのように、自分の承認欲求や金銭欲求を満たすことを目的として相談を受けてはいけないとの自覚は強く持っていました。
 
塩むすびさんの記事でも、カウンセリングを受けるなら臨床心理士が良いと言っていたのですが、私もこの意見に賛成です。

相談を受けるものの倫理観と治療の目的についてきちんと理解し、相談者に対して責任を負っているかどうかの目安となると考えております。

色々ある【心理カウンセラーの資格の違い】をまとめてみました。|塩むすび🍙臨床心理士 (note.com)

それでは、カウンセリングの目的とは一体何なのでしょう?
 
一言でいうとそれは「自己治癒力への奉仕」であると考えています。
 
つまり、人間には本来よくなろうとする力があると信じ、
カウンセリングはよくなろうとする力に焦点を当てて伸ばしたり、
邪魔するものを取り除いたりする手伝いをすることを目的とします。

そしてこれを実現するためには基本的に以下の3つの事を心がけています。
 

相手の半歩後ろを歩く
心の揺さぶりを共有し、抱える
場の流れのなかでかかわる


これからこの3つについて詳しく紹介します。

相手の半歩後ろを歩く

大きな悩みを抱えた人にとって、「大丈夫!私に任せて!」と主導権を持って先に歩き、引っ張ってくれる人は魅力的であり、心の大きな支えになるでしょう。
 
家族や友人関係など、普通の人間関係の中でこのような人がいることは、相談者にとって大きな財産になりますが、カウンセリングにとっては大きなデメリットがあります。
 
それは相手を依存させ「自己治癒能力を妨げてしまう」ということです。
身近な方法で言うと「アドバイスする」ということ、極端な方法でいうとカウンセラー独自のメソッドで本人を治療するということです(広く認められた精神分析や理論に裏付けられた方法は安全です)
 
例えば、子育てに悩んでいる母がカウンセラーから「大丈夫。私のいう通りにすればうまくいくわ」と言われて親子関係が改善すれば、相談者は「あの先生にお願いすれば問題解決するんだ。」と自分で対応したり考えたりすることをやめてしまいます。それだけではなく、高額なカウンセリング料を継続的に払うことになることもあります。
 
一方で、半歩後ろを歩く対応とはどのような方法でしょう。悩んでいる人に対して、相談者に今まで自分がしてきた解決方法やうまくいった方法をカウンセラーが質問したらどうなるでしょう。
 
そのような問いの中で相談者が過去に自分が行った成功法を思い出したり、その中から自分で新たに解決方法を見だしたりすることになります。その時は相談者は自分の中に力を感じ、不安がなくなり、よりチャレンジングに問題に取り組もうとするでしょう。

心の揺さぶりを共有し、抱える

人は何か悩んでいるときには、今までの考え方や価値観が揺らぐことが多いです。しかし、そのことに向き合う作業は大変なので、意識的にもしくは無意識的にその揺らぎをはっきりとは話さないことが多いです。しかし、そのようなときでも「接続詩や助詞」に微妙に表現されることがあります。
 
例えば、仕事と家庭の両立で悩み、子育ても仕事も両方うまく悩んでいる女性がいるとします。その女性が「子育てをちゃんとやるなら、仕事をやめないといけないような気もしてるんですよね。」と言ったりしますよね。
 
ここで大切なのは言葉として表に出てきた「仕事をやめないといけない」という気持ちに共感することではありません。
「仕事をやめないといけないような気してる」の中にある、
助詞の「も」に注目することなんです。
 
つまり”仕事をやめないといけないような気もしてるし、違うことも必要である気もしてる”という、表現されなかったほうの気持ちを聞くことが大切です。
 
この仕事をやめる以外に必要な何かを聞くと、相談者が言いにくかった、
「夫がもっと子育てに協力してくれればいいのに」
「自分の母(祖母)との関係が悪いから頼みにくい」

などの本当の問題が出てきます。

このような相談者が言いにくかった気持ちを受け止めることで、安心感が生まれ、問題についての今までになかったアプローチ法が本人から生まれてくることがあります。
 

場の流れのなかでかかわる

近年AIが発達し、いずれカウンセリングもAIでできるのではないかと頭の中をよぎったことがあります。
 
しかし、カウンセラーとして仕事をするなかで改めて考えると、やはりそれは無理だろうと思います。

なぜかというと、コンピューターは何か問題について考えるとき「うーん。あっちかなあ。こっちかなあ。」と悩んだりしないし、
AIは、問題について認識したらすぐに「こういう場合はこうするとよい」とはっきりと答えを出すからです。
 
人間の悩みというのは複雑であり、相談者とカウンセラーという人間をはっきり分けて、道徳や法などの基準を明確に分ければ解決するというものではありません。

人の悩みに真剣に向き合った経験があれば、問題を聞いたらすぐに答えをだし、そこに向けて説得しても、根本的な解決にならなかったり、本人の悩みは解消しないことがわかります。
 
カウンセラーはあらかじめ解決の方向性を決め打ちせず、カウンセラーと相談者が作り出す場の流れの中で出てきた言葉を扱っていくことが「自己治癒能力」を伸ばすことができます。
 
例えば、高校生の女の子が「ある人を好きになってしまった。でもその人は妻子ある男の人で、私の担任です。どうしたらいいでしょう。」とカウンセラーに相談したとします。
 
テキストでこのタイトルを読んだら、私でも倫理的にも法的にもまた経験的にもうまくいくはずはないだろうと思って止めてしまいたくなります。

AIが判断しても倫理的、道徳的、もしくは高校生が教員と不倫をしたデータから、「その恋愛はしないほうが良い。」と明確に伝えるでしょう。
 
しかし、実際に私が生身の人間として話を聞くことになれば、対応は変わってきます。

相談者がどんなにその男性のことが好きか聞くうちに、
「うーん。確かに倫理的によくないけど、好きって気持ちは簡単に止められないし。でも経験上、そのような恋愛はうまくいったという話を聞いたこともないし。困っちゃうなあ。」
と葛藤すると思います。
 
このように問題に対して白黒をはっきりつけずに一緒に悩んでいくことで、相談者も深く内省し、何が自分にとって最善なのか考え始めることが多いです。

また、見た目はあまりスマートではありませんが、カウンセラーが葛藤しながら生きていることを見せることで、相談者のモデルとなり、相談者自身も「解決はできないけど葛藤を抱えながら生きる力」を身に着けることがよくあります。
 
私はこのような心構えを持ち、面接にのぞんでいます。カウンセリングを受けてみたいけど、どのようなカウンセラーと会おうか迷っている人は参考にしていただけたらと思います。

<まとめ>カウンセリングの目的とは

今回は、臨床心理士である私の考える「カウンセリングの目的」をご紹介しました。
プロのカウンセラーが持つカウンセリングの目的は「自己治癒力への奉仕」であり、それを実行するために心がけるべきことは以下の3つになります。

相手の半歩後ろを歩く
心の揺さぶりを共有し、抱える
場の流れのなかでかかわる

これを知れば興味はあるけどあいまいな「カウンセリングの目的」がくっきりと見え、あなたが出会うカウンセラーが本物であるか見極められ、カウンセリングの魅力がより深く理解できます。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。

<参考文献>

神田橋 條治 2007 臨床能力を育てる 花クリニック神田橋研究会

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