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「臨床心理士が解説!学力と幸せって関係あるの?」

学力が高いと幸福度も高いのか?

こんにちは、臨床心理士のいちかです。今回は、学力と幸せの関係についてお話ししたいと思います。最近の世の中を眺めていると、多様性や個性が尊重され、若者も学歴にとらわれず、開業や副業などをして生計を立てる人が出てくるなど時代の変化を感じています。
一方で、スクールカウンセラーとして相談を受けていると、まだまだ学歴を気にする親子が依然として多いと感じています。

1、 学力と幸せの関係

実際、学力と幸せはどう関係しているのでしょうか?
一般的には、学力が高い人は将来の成功や満足度が高くなると考えられがちです。
しかし、実際にはそうとは限りません。学力が高くても、自分の能力に自信がなかったり、人間関係に悩んだり、ストレスを感じたりすることはあります。逆に、学力が低くても、自分の得意なことや好きなことに打ち込んだり、周りの人と助け合ったり、楽しみを見つけたりすることで幸せを感じることはできます。

では、学力と幸せの関係はどう考えるべきなのでしょうか?私は、学力は幸せの一つの要素であって、幸せの全てではないと思います。学力は、自分の知識や能力を測る指標の一つですが、それだけでは自分の価値や人生の意味を決めることはできません。学力以外にも、自分の性格や感情や価値観や目標や夢や希望など、幸せに影響する要素はたくさんあります。それらをバランスよく見つめて、自分らしく生きることが大切だと思います。

もちろん、学力を高めることは悪いことではありません。学力を高めることで、自分の可能性や選択肢が広がったり、自己肯定感が高まったりすることもあります。しかし、学力を高めることに必要以上に執着したり、他人と比較したり、自分を追い込んだりすることは避けた方が良いでしょう。学力を高めることは手段であって目的ではないということを忘れないようにしたいものです。

2、幸せになるために何を大切にしたらよいか

時代は変わりつつありますが、マスメディアは、学歴にランク付けをすることが大好きです。東京大学を頂点として「○○大学はAランク」「△△大学はCランク」などと呼び、ランクが高い大学に入るほど、いい会社に入れるようになっていると言われています。成績がよいほどいい大学、いい会社に入れることは、社会の一つの真理として受け入れられています。しかし、“いい大学、いい会社に入る=幸せ”かどうかは別問題です。上記のような「学力至上主義」は子どもを勉強で苦しめ、気の毒な気持ちになりますが、別の視点から、河合隼雄先生による以下の考えもあります。
 
『日本の場合、他の国に比べると、ある意味でものすごく子どもに甘いですね。子どものときはただ勉強さえしてればいい、それだけ。よい点をとっていればいい子と言われる。(中略)実際よい点をとるたびに「ええ子やええ子や。」とほめられて、勉強のほか何もしないでよい大学に入った女性が相談にきて言っていました。彼女が大学院に進もうと思ったとたん、「女は大学院なんかに行かなくてよろしい。はやく結婚しなさい」と、親の方針ががらっと変わったそうです。その人は「お嫁に行かすのが目的やったら、なんで勉強さしたんや。」っていうわけです。それなら「蝶よ花よ」でよかったわけでしょう。(河合隼雄)』
 
月並みな言い方ですが、学力という外的な基準のみにとらわれず、その子がどんな子になりそうか、という「個性」を見ることは大切です。よい成績をとって、金持ちになって、忙しく働いて、世間で広まっているなかの評価の高いのをやっているだけなら、「自分の人生は、いつおもしろかったんだろう。」と疑問を持つときが来るでしょう。つまるところ、「自分でやってみて、おもしろかったと思うことを本気でやってみよう。」という考えが、幸せにつながる一つの道であることを、ここで確認しておきたいと思います。

私は臨床心理士として、多くの人の悩みや苦しみを聞いてきました。その中で感じたことは、幸せになるためのキーワードは「自分らしさ」だということです。自分らしさとは何か?それはネットや本には書いていない自分にしかわからないものです。でも、それを見つけるためには、自分の内面に向き合う時間や場所が必要です。例えば、日記を書いたり、瞑想をしたり、カウンセリングを受けたりすることで、自分の気持ちや考え方や価値観に気づくことができます。私はこのブログを通して、皆さんの「自分らしさ」を見つけるお手伝いができれば嬉しいです。最後まで読んでくださってありがとうございました。

<参考文献>
河合隼雄 2001年 Q&Aこころの子育て


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