ひとりごと

懊悩は泥濘のごとくわが足を捉え
現実は大河のごとく眼前に行く手を阻む
向こう岸から呼び声が
早く渡ってこいと言う
さあその手で橋をかけよ
早くかけよそして渡れ、と

塵芥にまみれ 掴めるものは愛ばかり
愛ほど生に肝要なものはなく
また愛ほど役に立たないものもあるまい
それを大きく示すとて
誰も己のことで手一杯
口で申せど何ができるでもなかろうに

でくのぼうとて生きていくのに
食べるものを得、住むところを持ち
東奔西走し誰かの側に行ってやる為には
無償の愛だけで足りようか
せめて我は彼らが愛に応えるために
我が欲するものを彼らに求めたい

我を絞っても愛は無限には出はせぬぞ
出せはせぬぞ 尚求めるならば
我にそれができるだけの糧を与え給え
さもなくばこの上は我が身を賭して
誰がために生きたと示そうなどと
馬鹿げたことを考えずに済むよう

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