【宅建対策:権利関係〜抵当権①〜】
1.抵当権の概要
抵当権は、債権者が再建を回収するために利用する制度の一つ
再建を回収しやすくするための「債権者の武器」
抵当権者は、他の債権者に先立って優先的に債権を回収することができる。
これは抵当権者の大きなメリット。
2.重要用語
☆債権者と債務者とで取り交わす借金契約を「金銭消費貸借契約」と呼ぶ
そして抵当権を設定する場合、金銭消費貸借契約とは別に「抵当権設定契約」を締結する。
☆抵当権によって担保される再建を「被担保債権」と呼ぶ(債権者からすると貸金、債務者からすると借金のこと)
☆抵当権を有するものを「抵当権者」抵当権を彫っていされてしまったものを「抵当権設定者」と呼ぶ。
☆抵当権設定者は、必ずしも債権者とは限らない。債務者以外の第三者に抵当権を設定することもできる。この場合、当該第三者のことを「物情保証人」と呼ぶ(他人の借金のために自分の不動産を差し出すお人好し)
※抵当権設定者は、債務者が債務不履行にならない限り、抵当権者の同意なくして抵当不動産を使用・収益・処分をすることができる(1つの不動産に2つ以上の抵当権を設定することができる)ただし、不動産の担保価値を下げる等の行為がある場合は、抵当権者は、妨害排除請求を講師できる。
3.抵当権の対抗要件。目的物
抵当権は、お互いの意思表示の合致にのみで発生する。ただし、登記をしない限り、第三者に対抗することができない。抵当権は、不動産・地上権・永小作権に設定することができる。
また、抵当権自体に抵当権を設定することもでき、これを転抵当と呼ぶ。
4.抵当権の効力の及ぶ範囲
これは債務者が債務不履行に陥り抵当権が十っこうされた場合、抵当不動産はどこまで競売にかけられてしまうかという問題です。例えば、建物の場合、雨戸や畳まで対象なのか?ということ
付合物(独立性がないもの)
→原則として、抵当権の効力はおよぶ
具体例→雨戸・ガラス戸、立木・庭石
従物(独立性があるもの)
→原則として、抵当権の効力はおよぶ。
具体例→畳、石灯
従たる権利
→原則として抵当権の効力はおよぶ
具体例→敷地賃借件(借地権)
土地・建物
→抵当権が土地(建物)のみに設定された場合、建物(土地)に抵当権の効力はおよばない。
5.被担保債権の範囲
抵当権によって担保される債権(被担保債権)の範囲には、当然元本は含まれるが、利息・損害金等については満期になった最後の2年分についてのみとなる。これについては、後順位抵当権者の保護が目的。したがって、後順位者等がいないときは、2年分に制限されない
6.抵当権の性質
[1]付従性
債権と抵当権の関係は、「再建が主人公・抵当権は付き人」
①債権が成立しなければ、抵当権も成立しない。
②再建が消滅すれば、抵当権も消滅する。
[2]随伴性
抵当権は債権にくっついているため、債権が譲渡されれば、それに伴い抵当権も移転する。抵当権月の再建を譲り受ぇた譲受人は、債権とともに抵当権も取得する。
[3]物情代位性(横取り)
抵当不動産の滅失等により保険金等が生じた場合には、抵当権はその保険金にも効力がおよぶ。
抵当権者A⇆B債権者(設定者)
※抵当権者は、保険金が債務者に払い渡される前に差押えをする必要がある。これは一度債務者の懐(おさいふ)に金銭が混入すると、どの金銭が物上代位可能なものとして、売買代金、損害賠償請求権、保険金請求件、賃料等がある。
7.抵当権の順位
[1]順位
同一の不動産に数個の抵当権が設定されていた場合、これらの抵当権の順位は、登記の前後で決定され、競売による代金の配当もこの順番に従います。
なお、先順位の抵当権が弁済等により消滅した場合、後順位の抵当権の順位が自動的に上昇する。
[2]順位の変更
登記されている抵当権の順位を変更することもできる。
例えば、上記のAとCの順番を入れ替えたりすることができる。順位の変更をするには、各抵当権者の合意+利害関係人の承諾+変更の登記が必要。抵当権設定者の承諾は不要。