暑中見舞い
今年の夏は、暑中見舞いのハガキを2枚出した。どちらも東京に暮らす友人宛て。全国から人が押し寄せる、地元名物の夏祭りをイラストにした絵ハガキを選ぶ。そのハガキを購入できる店は限られているので、見つけると4〜5枚、まとめて買っておく。
住所と宛名を書いたら、文面を書く箇所は少ししか残っていない。少し小さめの文字で、「毎日暑いけれど、元気に過ごしていますか?」と書き始める。スマホのメッセージで送れば相手にすぐ届くし、相手が読んだかどうかもわかるけれど、それでは味気ない。夕方、少しだけ気温が下がった頃に散歩がてら、近くのポストに投函しに行く。
近ごろ久しく遠ざかっていたSNSを覗いていたら、3日前にハガキを出した友人のひとりが、私が送った暑中見舞い(イラスト側)の写真を撮って投稿していた。「遠くに住む友人からハガキが届いた。さっそく返事を書こう。切手はどれにしようか」とあった。思いがけず、友人が手紙を読んで、返事を書こうとしているのを知った。なんとも、不思議な気分だった。
その2日後、郵便受けに彼女からのハガキが届いた。私の好きな絵本作家、荒井良二さんのカラフルな世界が散りばめられた絵ハガキだった。記念切手はオリンピックの図柄。彼女は熱心に畑をしている。「毎日畑に行き、ハーブを乾燥したり、種取りをしたりして過ごしています」と書いてあった。
書き慣れた、丸みのある彼女の字を眺めていると、畑で楽しそうに作業している姿が目に浮かんでくる。文末は「また電話で話しましょう」と締めくくられてあった。
郵便切手の値段が10月から上がるという。定型の封書は84円から110円に、ハガキは63円から85円に。頻繁に手紙を出す私にはこたえるけれど、まったく影響を受けない人も多いだろう。どれくらいの人が、日々手紙やハガキを送り合っているのだろうか。
もう一人の友人からは返事はこない。これは、いつものこと。彼女からは毎年年賀状が届くが、私は年賀状を出さない。お互いが、好きなタイミングでハガキを送り合っている。