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形だけのアーサナ

最近新しいヨガのスタジオに通い始めた。きっかけは不思議なもので、ヨガのスタジオを探していたわけではなく、氣功のクラスを探して時に偶然に出会った。この半年ほど、新しい仕事を始めたこともあり、慣れない仕事と家族の大きな変化に心も体も疲れていた。「私」と生きて45年、エネルギーが湧かない時には、生命のエネルギーを感じるようなこと、例えば「ヨガ」や「気功」などが、一番の回復になることをなんとなく分かっている。自分はヨガの先生なのだからヨガをすればいいのだけど、マインドが忙しいこういう時に自分のペースで運動をすると、体を痛めるということもよく分かっている。絶対に怪我のない気功の方が今はいいとなんとなく思った。近くで気功のクラスを探していたら、なんとすぐ近くにあったので、一ヶ月ほど通いました。気功をしている時の、あのフワーッとした力みが抜けていく感覚が大好き。1時間のクラス中に何度もあくびが出て、余分な力が抜けていくのを感じていた。自分の中の神(精神の)部分が癒されると、不思議とエネルギーが湧いてきて、同じスタジオで行われているヨガの方にも参加したいと思うようになった。私がやっているハタヨガよりも、もう少し激しい動きやポーズの多いアシュタンガヨガと言われる流派の先生が教えるクラス。

1回目にオンラインでクラスに参加して、先生に見事に心と体を打ち抜かれる。とてもいい雰囲気のクラス。先生は全員に私を紹介してくれ、他の生徒さんも温かく迎えてくださる。よくあるヨガのクラスにありがちな、「私の方が長いのよ、ポーズも出来るのよ」というような、無言のマウンティングも感じない。この温かい雰囲気を作るのは相当難しいので、ベテランの先生なのだなと感じた。それ以来、週に2回〜3回ほど通っている。

アシュタンガヨガでは先生が一つずつポーズを教えて、生徒が覚えるまでみっちり教えていく、先生から生徒へ継承するパランパラというシステムがある。私は初めてクラスに参加する前に「Vinyasaは出来ます」とお伝えしていた。Vinyasa flowのTeachers Licenseは持っているから。ハーフプライマリーシリーズは、ハタヨガ経験者ならなんとなく出来てしまうと思う。先生には、プライマリーシリーズの方にも来てもいいと許可が出た。私には驚くほどの飛び級だ。後で聞いたらやはり先生が勘違いしていて、過去にアシュタンガを経験して、戻ってきた生徒だと思っていた模様。プライマリークラスに参加してびっくり。いきなり難易度が上がる。その時に、バンダ(エネルギーロック)と呼吸、視線(集中)の大切にいきなり気づいた。あ、これ、このままふんわりやっていたら一生かかってもポーズ一つも理解できないかもしれない。まずはハーフプライマリーで体力と筋力、エネルギーの流れを理解してからでないと、プライマリーで怪我をする!

私は体が柔軟だ。柔軟すぎて脱臼し、膝を手術した。現在ではそれを過伸展といい、気をつけてスポーツをしなければならないと知ったが、若い頃はそんな言葉も知らなかった。柔軟であることは、一見ヨガに向いているように見える。ポーズが簡単に決まるから。でも、ポーズを取ることがアーサナの目的ではない。そもそもハタヨガではそんなにポーズ一つ一つを重視せずに、呼吸と流れを重視するので私がそこに意識が向いていなかったのも仕方がないのかもしれない。でもポーズを決めることを目的にするのなら、形だけのポーズを決めて、深みに気づかず飽きてしまうかも。最近気づいたことだが、何年も私のヨガクラスに通ってくださる方は、体がかたい方が多い。体がかたい方が、柔軟性と筋力がついて付いて出来るようになる事が多く、伸び代が大きい。ポーズを深めようとすると痛みを感じるからより深い呼吸をしようとする。私が密かに嬉しく思っていることは、長く通ってくださる生徒さんのクラスは、プラナヤーマ(呼吸法)クラスがすごくエネルギーが良い。私がプラナヤーマを始めます、と合図するだけで自然の目が閉じ意識が深くなっておられるのを感じる。でも私はプラナヤーマの方ばかりに意識が向いていたかもしれない、形ばかりのアーサナを教えていたのかもしれないと反省した。自分が体験したことを教える(教科書通りではなく)のがパランパラのシステムだと聞いた。私自身、もう少しヨガと向き合う時間を増やして行きたい。


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