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近未来のAI政治と地方都市の姿にワクワクした ドラマ『17才の帝国』


■AIと地方都市の風景

 2022年5月~6月にNHKで放送されたドラマ『17才の帝国』は、202X年の日本のとある地方都市を舞台にしたドラマだ。AIによって選ばれた若者たちが、その土地で地方自治を行う姿が描かれる。
 『17才の帝国』というタイトルは、その都市の総理大臣に選ばれたのが17才の高校生だったことを指す。

 AIは映像を映し出し、住民は専用のグラスをかけるとその映像を観ることができる。そこで閣議の様子を監視したり、コントローラーを操作してその場でアンケートに回答したり、投票することができる。
 総理大臣の支持率も表示され、住民の声もSNSのようにリアルタイムで画面に反映される。

 海、山、歴史のある商店街や坂道。その地方都市の風景と相まって、そこで行われるAI政治にワクワクさせられながら視聴した。

■AIとノスタルジア

 作品内ではAIの使用方法としても可能性あるものが提示された。
 死んだ死者をAIで蘇らせて、まるでビデオ通話みたいに会話ができるようになるアプリで、先立たれた妻と会話する高齢男性の姿が描かれた。

 また、第4話では、街の歴史をAIに学習させて、かつてその街で行われていた祭りの風景を再現するエピソードが描かれた。それまでAI政治に反対していた旧市長も、その映像には感銘を受ける。そのシーンは、このドラマのハイライトの一つだろう。
 AIという先端的な機械が過去や歴史と結びつき、人間のノスタルジを喚起する装置になるのだ。


 ドラマ『17才の帝国』はAIの可能性を、美しい地方都市の風景をバックに描いたドラマだ。
 出演者の演技も楽しめる。特に今をときめく河合優実も脇役で出演していて、爪痕を残している。

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