高橋周平守備編~石川昂弥セカンド起用論~
昨今の、あるいは未来の中日を語るにおいて欠かせない存在の一人として、石川昂弥が挙げられることでしょう。昨年は2軍においてほぼシーズン通して4番として完走、そして1軍デビューとプロ初ヒットも記録するなど、偉大なキャリアの第1歩を踏み出したシーズンであったと言って差し支えないと思います。
そんな彼がいつ台頭して1軍に定着するのか、或いはどこを守るのかという話題がしばしば持ち上がります。2軍で昨年守ったのは主にサード、イニングは少ないながらショートの2ポジション。現在挙がっているポジション候補としては主にサード、外野が多いことかと思いますが、個人的にはセカンドが良いのではないかと思っています。よって今回はその根拠について語っていきたいと思います。石川の今後の推移についても書きますが、高橋周平との兼ね合いありきになるので高橋周平守備編とさせていただきます。
注:昨年の石川の守備をそこまで注視して追っていたわけではなく、あくまで編成寄りな考えになるのでご了承願います。
前回書いた記事とも少し絡んだ感じになるので良ければこちらも。
1.高橋周平はサード守備において真価を発揮する
石川のセカンドを提唱すること=ビシエド、石川、高橋周平、京田の内野陣を基盤とすることになります。一応石川の本職はサードであり、また高橋周平は過去にセカンドでの出場経験があり、その年に初の規定打席到達を果たしました。しかし、守備指標を参照するとやはりサードの方がより失点抑止に貢献しているという事実があるのです。高橋周平の3年間のUZRの推移は
2018:2.9
2019:5.6
2020:8.7
となっています。サードに専念してからのUZRは連続で5を越え、2年連続でゴールデングラブ賞を受賞しています。UZRとは守備位置における平均からどれだけ失点を防いだか、を示す指標であるので、菊池、山田哲等といった他チームのセカンドのレベルも影響しているとは思います。しかし、サードで平均と比較してより多くの失点を抑制しているということもまた事実。この守備を出来る高橋周平を比較的平凡なセカンドに移してまでサードに据える、というのも現段階では現実的ではないと考えます。
2.守備の「源泉」について
僕は守備についてその選手の守備力の源泉は何か、ということを良く考えます。簡単に言えば守備におけるストロングポイントのことです。「○○はスローイングがいいんだよなあ」とか、「グラブさばきがいいんだよ」とかそこらのおっちゃんが言っているのを聞いたことのある方は多いでしょう。それについて考えた時、高橋周平の源泉は間違いなく打球反応とハンドリングであると僕は思います。
サードというポジションは右打者が引っ張って打った速い打球が多く、足運びでバウンドを合わせて捕球という基本をやる時間的猶予もないことが多々あります。また、無回転の打球やドライブ回転がかかって沈みながら飛んでくる打球もあるように、ライナーであっても真っすぐ飛んできてくれるわけではないのが一筋縄ではいかないところかと思います。そこで必要になるのがハンドリングや反応の速さなのですが、高橋周平はこれに関して高い能力を持っていると考えています。この反応に関しては指標などはおそらくないので完全に主観です。
ショートに京田陽太という名手がいる以上、現在の中日のサード守備に終おける優先順位の高さは前、そして正面付近の強い打球に強いことではないでしょうか。正面においては言わずもがな、前の打球に関しても反応の良さを発揮しています。生で見てて度肝抜かれたのがこのプレー。
もうノーラン・アレナドかと。
そしてこの反応やハンドリングの良さはセカンドではサードと比べ比較的発揮されにくいのではないでしょうか。もちろん使わないことはないですが、比較的打者から距離のあるセカンドでは足運びでバウンドを合わせることも可能になります。よってゴールドグラバー・高橋周平の守備を生かすにはおそらくセカンドよりもサードであろうという結論に行きつきます。
チーム的な旨味と未来予想図
石川をセカンド起用することによって、高橋周平の守備を生かすことに加えてもう1つ大きな意味があります。それは、センターラインの打力を底上げすることが出来ることです。3連覇を果たした広島は、タナキクマルといった1~3番を二遊間、センターで形成し高い攻撃力を発揮しました。また、現在の巨人も坂本、丸の主軸二人はセンターラインの選手。そして、西武もソフトバンクを押しのけてペナントを制していた時は秋山、浅村、外崎、源田、森といった選手がセンターラインを固め、攻守ともにハイレベルなパフォーマンスを見せていました。このように、現代の野球はファースト、サードや両翼といったポジションはある意味打てて当たり前で、強いチームは更に守備力優先とも言われるセンターラインも高い攻撃力を持っていることが多いのです。
ここに石川をセカンドに起用する意味があり、石川が頭角を表せばセンターラインの攻撃力の上積みを望むことが出来、チーム力増強につながるのではないでしょうか。また、昨年取り組んだサード、ショートに加えてセカンドも出来るということになれば、石川自身の選手価値を高めることにつながります。
かといってずっとセカンドで良いと思っている訳でもありませんし、また現状セカンドでフルで出てくれという訳でもありません。とりあえず今のチーム状況も踏まえて、
現在:サード→高橋周(高橋周の休養時に石川サードも)
セカンド→石川(休養時に阿部、堂上等)
↓
近い将来:サード:石川(休養時に高橋周)
高橋周はハンドリングを生かしてファーストなどにも挑戦
が流れとしてはベターなのかなと考えています。
終わりに
とまあ2本に及ぶ高橋周平連載が終わります。今回は高橋周平に石川の話題も加えましたが、やはり互いの強みをフルに発揮した状態での起用をすべきだという一言に尽きます。このキャンプでは石川がセカンドに取り組んでいるということも多少聞きますし、とにかく台頭を待ちたいですね。そして互いの力関係も加味してベストな時期にサードの交代が為されることを望みますし、今の首脳陣ならできるだろうという信頼はしています。ただ、今オフで増量して90キロ台後半になったという情報もあるので、やはりフルタイムセカンドは厳しいでしょうね。本拠地が人工芝のナゴヤ、いやバンテリンドームなので尚更です。そこでセカンドを諦めるのではなく、故障を防ぐために積極的に休養を取り入れて起用していってほしいところですね。今回はこの辺で。では!
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