2021年の創作活動/2022年の展望
ふと気づけば暮れようとしている2021年の大晦日、みなさまいかがお過ごしですか?
当方、オリジナルの創作小説を書いている一福千遥(イチフクチハル)と申します。
あまくてあわい恋愛小説や「路地ひとつ隔ての異界」を描く幻想小説を書いたり、どこか遠い景色を描くような短歌を詠んだりしております。
さて、そんな私の2021年は──
1月にText-RevolutionsEX2合わせで『Driver's Songs cassette tape』『刻を巡る物語Ⅱ』の2タイトルを刊行しました。
こつこつと『刻を巡る物語Ⅱ』を書いて頒布予定、だったところに、フェアの内容がツボって、もういろいろむぎゅっと詰め込んで刊行した『Driver's Songs cassette tape』。
収録された15曲の解説を昨年の私からブン投げられているのですが、今年の私は来年の私に、あらたに別の記事を設けますのでそこで語ってください、とまたも遠投を決め込むことにします。
──しかしここで一度に2タイトルを刊行、しかも睡眠時間を削り続けたという無茶苦茶をやったがため、脱稿したあとにぽかんと深い虚無にとらわれ、さらにはツイッターにもログインしようとすると指が震え、身体が冷え込むほど精神が複雑骨折しかけてしまい、ここでいったんおやすみを宣言いたしました。
もともと6年前に、書きもの自体に感興の引き金が引けなくなるほど精神的に落ちてしまい、けれど書きものはしていたいという葛藤のなか、リハビリとしてはじめたツイッターにログインできなくなるというのは正直、かなり辛かったです。
オチとしてだいたい一ヶ月で戻ってこられたのは、畏友からふいに送られてきた珈琲とチョコケーキ、慈雨のようにそっとやさしい言葉をかけてくださった方のおかげです。
あのときは、ほんとうにありがとうございました!
──いただいた珈琲の味と言葉は忘れられません。
そして、3月にText-RevolutionsEX2のわくわくおためしパックにて『Driver's Songs cassette tape』の番外編っぽい掌編を書いたあたりから、またすこしずつ、ちょっとまとまった話を書きはじめたのですが……なにぶん出だしが出だしだったので、「今年はとにかく無理しない、ツイッターも時間を決めてログインすること」がモットーでした。
4月に参加した「百花迷草」では、趣味全開の掌編と葛モチーフが書けて、本人としてはほくほくしております。
……とはいえ実際には、廃墟にまつわる蔦や葛はなかなかに怖くて直視はできないのですが……
そういう「現実には怖いのだけど書きもののモチーフとしては好き」なもの、けっこうあります。
5月からは天鵞絨企画の参加型企画に、小説にて参加しております。こちらは「悲しみのオルフェウス」に「輪舞曲」で参加させていただいてから、開催月には参加させていただきました。自発的に選ぶテーマではないことで、だいたい1,500字以内の物語をどの切り口で書こうかな、と考えながら書くのが楽しかったです。
自分で書いていて趣味全開にも程があったのは、#足元からこもれび での「誰がためのアンクレット」と、#妖怪問屋繁盛なり での「懸想文仕掛之一幕」、そして#死に征く者に口づけを への「Dear Lint.」です。
6月開催のペーパーウェル06は、『そぞろあるき』『WANDELEN』の2タイトルにて参加しました。
折本短歌集『そぞろあるき』は、たまたま撮った写真と、刊行直近で撮った写真とを有効活用しています。そのなかの一枚は旅先で思いがけず時間が空き、現地で調べて唐突に行ったところなのですが、まさか写真がこんなところで役に立つとは。
『そぞろあるき』はBOOTHにて無料配信中です https://sitongyaosu.booth.pm/items/3054409
折本掌編集『WANDELEN』は散歩にまつわる掌編をぽつりぽつりと書いていたつもりが、いつのまにか路地裏に迷宮を見てしまう展開もあり……散歩、というより「彷徨」になっている気味もあります。
余談ですが、このなかに出てくる【定義:ちょっと】の「じいちゃん」のモデルは父方の祖父です。ホントにこんな感じで出かけていくひとだったので、いつかネタにしてやろうとは思ってました。
『WANDELEN』はBOOTHにて無料配信中です。https://sitongyaosu.booth.pm/items/3054408
8月に第四回ちょこっと文芸福岡折本フェア『ひそかごと』『六つ鍵ランドスケープ』
これまで折本の短歌集は、手持ち+だいたい居住地近場で歌のイメージに近いものをあわてて撮ってきた写真から選んでいたのですが、いよいよ写真ストックが……となり、『ひそかごと』は自分のなかで「箱におさめられた品」というコンセプトを決めて写真を撮り、そこから掌編を書いてのち短歌を詠む、という形式で作っています。光源に蝋燭使ってみたり、箱に納める品をいろいろ考えるのが楽しかったです。
『六つ鍵ランドスケープ』は、実は前回のちょこっと文芸福岡折本フェアに参加した『まどろみホテル』のアンサーソング的な作品だったりします。
鍵から鍵へ、ひとつの世界からまた別の世界へと至る物語が書けて、ひとりでニマニマしています。
10月に第3回そこの路地入ったとこ文庫に委託
本を委託販売するのは、はじめての経験でした。そのせつはほんとうにお世話になりました! ツイッターでアップされる写真を見るたび、何度現地に行きたいと思ったことか……! 『さくらかさね』をお手にとってくださった方がいらしたのも、とても嬉しかったです。
11月はいろいろむぎゅっと盛りだくさんに詰まっています。
ペーパーウェル07には『そらのことづて』『そらからふる、ひとひらの』の2タイトルで参加しました。
折本短歌集『そらのことづて』はモチーフこそさくっと決まったものの、肝心の短歌と図案がなかなか決まらず……でした。でも、なんだかんだで今年の自選短歌に選ぶ歌が詠めて、ちょっとホッとしています。
今後も図案デザインでの短歌集も編んでみようかな……〆切との戦いにならない範囲で……という無謀な野望は、ちょっとあります。
『そらのことづて』BOOTHにて無料配信中です。https://sitongyaosu.booth.pm/items/3441738
『そらからふる、ひとひらの』は、テーマ「そらからふる」で連想ゲーム的なネットサーフィンをしていた際に、舞台の「天」の存在を知り、そこから書いた掌編です。とはいえほとんど舞台を観た経験のない、演じる側に立ったことはさらにない人間なので、演目については、すこしでも「こんな舞台ありそう」感を出すのにけっこう苦労しました。
『そらからふる、ひとひらの』はBOOTHにて無料配信中です。
https://sitongyaosu.booth.pm/items/3441732
#アトリエ部文芸展 第百十七節「鞄」
こちらは休止前の最後の開催、〆切二時間前になってふっ、と浮かんだ五行歌を、画像にして投稿したのですが、まさかの決選投票選出……!
とってもびっくりしましたが、これ、実はかなり嬉しかったですー!
昨年出逢ってから詠ってみたい、と思いつつ、呼吸がなかなか難しくて(大真面目に助詞ひとつ選択するのに大長考入ります)、でも詠んでみたい、と思っていた五行歌で、いろんな方に目にしていただける機会を得られましたので……!
そして11月といえばノベルバー! と意気込んで投稿開始、は良かったのですが……今回は一話完結の物語、けれどどこかで小道具がもしかしてゆるーく繋がってる……? な雰囲気を目指していました。しかしそのぶん、一話が一話が当初の想定以上に長くなり、画像化作業も含めて手が回らなくなってしまいました。こちらは年越しになってしまいましたが、ゆるゆるお付き合いいただけましたら嬉しいです。
12月に入り、ノベルバーの反省から、ビロォドアドベント2021はとにかくちいさな物語にしたり、お題によっては小説ではなく和歌や詩にしよう、とこだわらない感じで書いていました。結果的にこれで、肩の力がわーっと抜けたところはあります。
「貝楼諸島より」の島アンソロジー作品「海づく島-みづくしま-」ですが、これ……プロット自体は、実は7月にできてました。けれども成型する際、思うように文章が出てこなくて寝かせ、9月で再挑戦したのですがまたもダメ。12月のいよいよギリギリになって、すこし時間が取れたのを幸い、悩みすぎるな考えすぎるな、当初の筋書きを下手にひねるな、でがーっと書き上げました。
ずっと前から気になっていて、今回初参加挙手しましたCDTNK年越しライブ2021、これ実はうっかり「いてうた」参加の機会を見逃したやるせなさも、参加を決めたバネのひとつだったりします。
そして通年でツイッターでは、「#一次創作幻想祭」のタグとTwitter300字SSに、ほんとうにお世話になりました! この企画がなければ、書くことを楽しむという本来の目的も、こつこつマメなPR活動もサボっていたと思われます。
「月燈マルシェ」ピクスクフィナーレもギリギリ参加できましたし、本をお手にとっていただけて、とっても嬉しかったです!
……そんなこんなで振り返ってみれば、先が見えない恐怖にまみれた不調を後半で取り返した感のある2021年ですが、ほんとうに──また小説書いて、短歌も詠んで、ができるようになれて、つくづくありがたいと身に沁みています。
ハートやRT、noteでのスキのひとおし、さらには感想をいただきましたこと、あらためて深く御礼申し上げます。
2022年についてですが、リアルイベントへの参加はちょっと様子を見ることにします。
小説や短歌についても、面白そう! な企画や折本配信イベントには参加挙手する構えでおりますが、原則は『刻を巡る物語』のⅢ巻刊行をめざす以外は、充電・インプット優先の地固めモードで、と今のところは思っています。
趣味、というかほとんど道楽でやっていることなので、いろんなところでの負荷を掛けすぎない方向で……
ともあれ、つらつら創作語りのこの記事を最後までお読みいただき、まことにありがとうございました!
どうぞみなさま、良いお年をお過ごしください!