視覚障害技術士がeスポーツでインクルーシブな未来への橋を架ける

#未来のためにできること
技術系公務員として社会インフラ整備に携わる中で国家資格「技術士」などの技術資格を取得、40代を迎えようとしていたある日、
「視覚障害に至る難病です」
と医師から宣告された。
きっかけはダムの現場で同僚達は屋内外を何ら支障なく歩けるのに自分は明暗差に慣れるのに時間がかかり遅れてしまう。
病院に行けば治るだろうと眼科を受診したところ「網膜色素変性症」という夜盲だけでなく視野が徐々に欠け失明に至るケースもある進行性の国の指定難病との診断を受けた。
その日から生活が変わった。
病気の進行は緩やかだったが徐々に日常生活や仕事に支障が出てくる。
仕事では転勤や出張、災害対応が出来なくなり、自宅から通える地元自治体の障害者雇用の事務職に転職した。
日常生活では、自動車の運転ができなくなり自動車好きで大学では機械工学を専攻、国内B級ライセンスも取得したこともある自分にとってはかなりショックだった。
代わりになる趣味を考えていたところ街で子どもの頃に夢中になったレースゲームが目に留まり、やってみるか!とゲーム機とソフト、ハンドル型コントローラーを購入、運転を楽しむようになった。
時代の流れとともにゲームはオンラインが主流になりeスポーツに進化。その中でブラインドeレーサーとして障害の有無や年齢、性別、国籍を問わず楽しめるバリアフリーeスポーツに出会い、自分の居場所を見つけた。
難病発覚後は引きこもりがちだったがeモータースポーツをきっかけに白杖を持ってeスポーツイベントやサーキットに出掛けるようになり、これまで気づかなかったことに気づいた。
社会インフラは健常者が想定したバリアフリー設計であり、段差が大きい、点字ブロックが途切れる、ピクトマークがバラバラなど、配慮不足やミスマッチで使いづらいことが多い。
障害を持つ技術者として自分にできることがあるのではないか?
今の仕事に不満はないが病気の進行によりフルタイム勤務が必須なため心と身体の限界を感じている。
高度なスキルや資格を持つ障害者は多いがその実力を活かせている方は少ない。
この貴重なスペシャリスト人財(人材)が就労できる未来を切り拓きたい。
個々の持つ特性を活かした、誰もが生きやすく、働きやすい、夢を見られるインクルーシブな社会の実現に向けて、希望の橋を架けたい!
その思いを胸にブラインドeレーサーとして今日も自宅でレースに挑む!

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