5年前に別れた画家元彼が頂き女子と失踪した話
「僕はさ、同居してるMくんにゴミ箱蹴られたりしてるのに何も言えなくて辛いんだよね」
付き合いたての頃、言われたことである。
「最近、知識人ぶってる友人がいてその人は容姿もいいからなのか、“変わってる”って言われたがってる。僕、嫌いなんだよねそういう人」
友人期間に言われたことである。
突然パパ活女子(りりちゃん参照)に目をつけられる
わたしの当時働いていた水商売の職場に、18歳の家出少女がいた。ホストの彼氏と同棲しながら、うちの職場に通ってくる、リストカット痕の沢山ある女の子。
真っ直ぐな黒髪ストレートに、清楚系なメイクをしたアイドル顔の女の子だ。だけど、どうしても男性のお客様ウケが悪い。ちょっとでも都合の悪い(お金の面で)人が居たら罵倒したり、無視するからだ。
そんな彼女がある日待機室で「パパ」と言う人とずっと通話するようになった。
本人曰く、「楽に稼げるマニュアルを手に入れて無双している」そうだ。
そのマニュアルこそ、一才を風靡した「頂き女子りりちゃん、おぢ攻略マニュアル」なのだが、私は当時23歳。先輩たちと「詐欺だよあれは」と談笑するくらいで終わっていた。
ハズだった……。
すごく恥ずかしい話、私はそのお店でNO1を頂いていた。
そこから、私のお客さん=「ちょろいお金持ち」の図式がなりたったのだと推測するが、その子は、私を指名していたお客さんに対し「お店の外で会いたい」と持ちかけていると先輩たちから聞くようになった。
「まぁ、そういう業界だから仕方ないよね」と思っていた矢先、彼女はお店をクビになった。
いわゆる店外行為のしすぎでだ。
本題に戻る。その子がそういうことをしている傍ら、私は一時期その彼氏と別れていた。
ほんとうの理由かは定かでは無いが「いびきがうるさすぎることとアートフェスに落ちて本腰をいれたいから」ということだった。
私は美術系出身だが、彼にはずっと黙っていて(言っても現在活動していない限り意味がない)その話も色々思うところがあったが、なんとなく受け入れていた。
転機は、その女の子から私の仕事用Twitterに彼の名前を名指して、DMしてきたことが始まりだった。
内容としては、「私はうまい商売をしているから、あなたは口出ししてこないように」ということだった。
そこから、彼とよく電話をしていたのだがキャッチが多く入るようになり、挙げ句の果てには「本当に好きな人なら別れ際見えなくなるまで手を振るだろう」と言われた。
「君と僕では顔面偏差値が釣り合わない」とまで言われた。
悪い関係を全て断ち切ることにした。
冬に彼と別れてすったもんだがあったあと、翌年3月に「復縁」しようと連絡が来た。
私も若かったと思うが、ついていった。千葉の田舎だったけれども楽しかった。しかし、その時の彼は精神不安定で、よく自殺を仄めかしたり、池袋へ画材を買いに行くとでかけて画材を買わずなぜか手ぶらで帰ってきたりしていた。
特にその間が、業務用アカウントのDMが荒れていた。内容としては「私の方が勝ってる」などだった。
そしてよくわからないのだが、彼はいきなり「悪い縁を全て断ち切ることにした」とスマホ一式買い替えて、これまでのスマホはサブにし始めた。
「いくら恋人同士でも毎回見えなくなるまで手を振るのは少し不自然なんじゃないの?」や「良い作品を作っていても理解ない人間からすれば遊んでいると思われるのだから、そんなに自分にストイックになる必要ないでしょ」と言った私も「悪い縁」として、排除された。
勿論、私に魅力がなかったというのも認めます。
頂き女子の極意
頂き女子が狙うターゲット層は
・自発発言をあまりしない
・お金の管理がうまくできない人
・承認欲求が強い人
・自分の身なりに気を使わない人
・一目惚れしやすい人
・孤独な人
だったと記憶している。「頂きしてまーす笑」のDM以来、頂きとはどういうものなのか先輩と一緒に潜入捜査した結果そういうマニュアルが出てきた。
いまでこそ、頂き女子は浸透しているが、当時はホスト狂いの人くらいしか知らない情報だった。りりちゃん本人も鍵垢だったわけで。
彼は、これらに当てはまっている状態で、尚且つ彼女もコンカフェにいそうなアイドル風な見た目が故に彼は一目惚れしたのだと思う。
私と別れてからも、彼女から定期的に「会っていないか」と確認のDMが届いていたが一年ほどでそれも無くなった。(思ったようにお金が引けなかったのだろう)
忠告しないといけないのでは?
今思うと若すぎる考えだが、彼から電話が来た時は定期的に「パパ活女子ってしらべてみたことある?」などと質問してキレられていた。
本人曰く、今はそういう人居ないし、軌道に乗りまくってる的な回答しか得られなかった。でも、名指しで頂き女子から連絡が来ていたのも確か。どっちが本当なのかわからず困惑した。
今の私なら、「騙されるのも経験だし頑張れよ〜」と言えるが、詐欺に引っかかってるっぽい人をほっとけなかったのは事実である。
マンションを契約してもらった
これが頂き女子からきた最後のDMである。どこまで本当なのかは分からない。ただその頃から彼から私への鬼電(深夜に何十回と着信がある)が止まらなくなったのは事実で、「お金がない、仕送りじゃ足りない」と言ってたのも事実である。
それと同時期にプロポーズされたのも思い出深い。あまりに雑なプロポーズ過ぎて、その上、私も病気の為療養に入っていたので、断った。断ったら「なんで僕が……おかしい」みたいなことを言っていたから、きっと、頂き女子あるある「結婚ちらつかせ」されたままフェードアウトされてしまったのかもしれない。推測に過ぎないが、2人で暮らすための家とか言われてデカい家契約させられたんだろう。その子は猫とホストの彼氏と住んでいたので。
相手の女性はメンヘラの気質があったので、完全にフェードアウトしたかは謎。
元々の友人と寄りを戻そうよとアドバイスするも惨敗
彼は何もかも失ったような雰囲気を私が25さいの時、対面であったときに出していた。それが会った最後だった。
引っ越しをするとかだったと思う。
体型も雰囲気も変わり果てていて、大丈夫なのか?私のせいなのか?と思ったりもした。
余りにも悲惨な雰囲気を出していたので、昔の友人と仲良くすれば良いのでは?
と言ったけれど、「男の友人とは笑って話せるけど心の底から分かり合えるようなことはない」と断言された。
そ、そうかなあ?
「女の人には本音も弱音も言える」と言っていたので本当なのかもしれない。
「運命の相手ならもう一度会える」とかスピったことを言っていたのも怖さを助長させたがその時は肯定しておいた。
私の気がかりは、「良い友達」とやらは、本当に良い友達なのだろうか?
ということ。
私も結婚して
あれ以来1、2年は電話したり、誕生日にLINE送ってきてくれたりしていたが、この生活はよくないよな。と思って全ての連絡先をブロックした。
なので、それ以来音信不通である。最後に聞いたのはおばあちゃんの面倒をみながら(嘘かもしれないが)ハロワに行っているということだった。
それから私は予備校時代の友達と結婚した。でも、工業大学卒のシステムエンジニアだ。
彼は毒舌だが、絵にも理解あるし、なにより私が健康になれるように家に居させてくれている。
若い頃はハラハラしたりもしたけど、こういうなんとなく落ち着くなというのも重要に思う。
これからは友人関係を大切にして、いや……そもそも人を大切にして生きていこうとおもった。
生き方がノイジーな時期があっても、いいんじゃないか。といまならおもえる。
ただ、隠居するには早過ぎただろうなと思う。
なんだかんだ言って、5年後くらいにひょっこり現れたりすると思っている。
そしたら、目の横で流し見して、「よかったね」と思うんだろう。