覆面作家は二人いる 北村薫
北村薫氏の代表作の一つ覆面作家シリーズの第1弾です。
「推理世界」の編集者、岡部良介が担当することになった新妻千秋(ペンネームは覆面作家)とコンビで事件解決に挑む3話。
けっこうベタな、お嬢様探偵物語ですが、お嬢様が家の外と内で性格がまるで変ってしまうというところが斬新かな…。
ここからネタバレ含む感想
「覆面作家のクリスマス」
良介とお嬢様の出会い編。初めての執事に驚きながらもお嬢様と会った良介は刑事をしている兄の現在担当している女子校の寮で起こった殺人事件の話をするとお嬢様はすぐにそこへ出かけると言い出す。寮で聞き込みをして真犯人を突き止め電光石火のごとく事件を解決に導く。
「眠る覆面作家」
良介はお嬢様と臨海水族園で待ち合わせをする。しかし、仕事に追われていた良介は寝過ごしてしまい大幅に遅刻する。その間、臨海水族園では誘拐事件の身代金の受け渡し場所になっていた。良介の双子の兄、優介を良介と間違えてお嬢様が投げ飛ばしていしまう。誘拐事件の話を聞いてお嬢様はすぐに真相にたどり着いてしまう…。
「覆面作家は二人いる」
左近先輩とお嬢様の顔合わせに行った良介は、そこで左近先輩の娘の花絵がデーパートで捕獲される現場を目撃する。その現場を見たお嬢様は、デパートに勤務している左近先輩のお姉さんのお手伝いをして捕まったふりをしていることを見破る。最近の花絵の様子を心配していた左近先輩も花絵から学校でのちょっとしたボランティアの話を聞いてホッとする。
タイトルは、良介の兄優介が、お嬢様の内と外の違いについて実は二人いるのではないかと言い出したことからのタイトルだったがこの仮説は間違っていた…。外での乱暴な言動とは裏腹に、内面は内と外で変わらないお嬢様に良介惹かれているか…。