勿忘草の咲く町で 夏川草介
あらすじ
看護師の月岡美琴は松本市郊外にある梓川病院に勤め3年目になる。現在は、内科に勤務している。郊外には特養や老健が多いため搬送されてくる患者は老人が多い。出勤途中で見かけた、救急で前の上司と話をしていた美琴は信濃大学から1年の予定で来ている研修医の桂正太郎と出会う。桂は花瓶の水を変えようとしてその場所を聞いてきた…。
ここからネタバレ含む感想
表向きは、看護師美琴の目を通した老人ばかりの病院で奮闘する研修医桂と二人であれこれ問題を解決していくようなホンワカしたような物語ですが、裏側は、現在の日本の医療について疑問を投げかけている小説です。どちらかというと作者の夏川さんは裏の方を示しているような気がしました。
高齢化社会で、病院では命を繋ぐのか、看取るのかそんな問題が大きく取り上げられています。現在の日本の医療では、高齢者の最後にかかる医療費が重く圧し掛かってきていて、おそらく団塊の世代が後期高齢者になる頃に負担に耐えられなくなるのではないか…と語られています。しかし、他人に対しては寿命に対して冷ややかな意見を持つ人でも自分の身内となるとその選択異なりできるだけのことをしてくださいと求める人が多いのかなと思いました。どこで線を引くのか今後大きく問題とされてることだと思います。
そんな社会の変化を物語を通して考えさせる物語だと思います。